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[ 文庫 ]
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日中戦争への道 満蒙華北問題と衝突への分岐点 (講談社学術文庫)
・大杉 一雄
【講談社】
発売日: 2007-11-08
参考価格: 1,313 円(税込)
販売価格: 1,313 円(税込)
( 在庫あり。 )
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・大杉 一雄
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カスタマー平均評価: 5
日中戦争の理解に不可欠の一冊 本書は満州事変から日中戦争にいたる主に政治的な流れにポイントをしぼって詳述する力作である。通説に流されずに、史料の精読と客観的な叙述によって、まったく新しい日中戦争のイメージが浮かび上がる。
従来言われてきた陸軍悪玉史観であるが、著者は出先機関である満州軍の横暴があったことは事実であるが、それを止めようとする流れができつつあるのに壊したものとして、広田外相・近衛首相ら政治家の不作為を挙げる。広田外相の後を受けた佐藤尚武外相は、対中融和路線を着々と進めていたが、政権交代による路線変更でそれも幻となった。
また、陸軍は軍令と軍政で必ずしも一致しておらず、意外にも軍令(参謀本部)は--石原莞爾の息がかかっていたため--日中戦争の開戦阻止に向けて動いたことを明らかにする。
一方海軍は、これまで日米戦争の開戦について多く批判されてきたが、上海事変の拡大を引き起こしたことはやむをえなかったとしても、日中戦争開戦決定の連絡会議において、開戦側に就いたことが痛恨の失敗だったとして海軍善玉史観および海軍有責史観の両者に対し、一歩踏み込んだ洞察をしている。
また、戦前において言論の自由はなかったとよく言われるが、日中戦争開戦までは比較的自由であったとして、石橋湛山の舌鋒鋭い批判を挙げる。
むしろ、言論が自由であった当事にあって、世論が開戦に賛成したことが大きな問題であって、その原因として、人口問題の解決を大陸にもとめたこと、ソ連の南方進出政策への脅威を国民が共有していたことを挙げる。
これらのことは、専門家の間では膾炙していることなのかもしれない。しかし、我々一般人にわかりやすく蒙を啓いてくれた本書の功績は大きい。
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[ 文庫 ]
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歴史の哲学―現代の思想的状況 (講談社学術文庫)
・渡辺 二郎
【講談社】
発売日: 1999-11
参考価格: 1,313 円(税込)
販売価格: 1,313 円(税込)
( 在庫あり。 )
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・渡辺 二郎
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カスタマー平均評価: 4.5
コンパクトにまとめられ、かつ有益な歴史の哲学の本! 「私たち人間が歴史と関わる基本の在り方、すなわち、歴史に対する根本的な見方、つまり歴史観の問題を、私はここで、現代に生きる人間の立場に立って、考え直してみる」(5頁)ことが、本書の目的です(3頁にも同じ意味で記載されている)。私事ですが、史料を使って卒業論文を作成していた際、このような問題を考えることなく取り組んでいたことをふと思い出しました。そこで、先人たちはどのように歴史を書き、またはそれを捉えていたのだろうかと思ったことが、本書を読むきっかけとなりました。
まずは、第1章の「歴史の問題点」があり、次にさまざまな歴史家、思想家や社会科学者などの考え方を取り上げて歴史の問題を考えていく過程が、第2章から第15章にわたって記されています。その問題とは、例えば歴史認識を考える際、主観性や客観性についてどのように考え、かつ扱えばよいのか。また、歴史叙述の時に無数の歴史的事実の中で自分が大切だと思うものを選択しなければならないとすると、その選択の基準は何かといったものです。
ただし、絶対的な正しい答えを提示しているわけではありません。けれども、登場する人物が多彩なため、たくさんの歴史に対する見方や考え方を知り、かつ考える材料になるはずです。これだけの内容を文庫としてまとめているので、読む価値は十分にあると思います。
歴史の哲学、あるいは哲学の歴史 歴史とは何か、歴史といかに携わるべきか。本書において取り扱われるのは、表題の通り、
そうした歴史の哲学。
「超越的歴史」、「内在的歴史」、「実存的歴史」という三区分をベースに、筆者の専門と
するドイツ近現代哲学の議論を中心として、歴史をめぐる思考に明晰な筆致をもって迫る。
歴史の哲学であると同時に、いわば哲学の歴史としての性格を併せ持った一冊。
そしてまた、歴史の問題は単に過去を扱うものとしての歴史の問題にとどまらず、とりわけ
科学の進展した現代を生きる我々にとって、当然に自然への関わりをも視座に入れたものと
なってくる。特に最終章のヤスパースへの言及には、その傾向が顕著に現れる。
明晰な筆致、と先に記した。しかし、ヘーゲルやマルクス、あるいはハイデッガーあたりの
晦渋な訳語・術語にあまりなじみのない人々にとっては、ややもすると、その明晰さを把握
しづらい面があることも否めない。逆に、そのハードルを乗り越えたものにとっては、非常に
スマートで、かつ示唆に富んだ一冊となっている。 歴史を見る目を養う 歴史とは、何か?
人は、歴史とどう付き合っていくべきなのか?
その問いに一定の回答を与えているのが、本書と言える。
こうした、「歴史の論理」、言い換えれば「歴史哲学」は「世界をどう見るか」という「世界観」に繋がる基本的な問題である。
そして、この「世界観」は今までに色々と提示されてきたと言える。
ランケの実証主義しかり、ヘーゲル・マルクス的進歩史観しかり、アナール学派然りである。
しかし、日本ではこうした「世界観」の問題はそっちのけで「実証的研究」に入るため、自分がどういった「世界観」を基盤にして立っているのかを知っている人は少ない。
結果、日本の教科書にはヘーゲル・マルクス的進歩史観に「毒されている」と指摘されるように、無意識的に立たされた「世界観」を当たり前のモノとして受け入れてしまう。
他方で、アナール学派の「世界観」に立った社会経済史学に影響された記述も当たり前のように蔓延していると言える。
このように、日本では無意識的な「歴史哲学」が蔓延しているのにも拘わらず、こうした「歴史哲学」の分野は流行らないと言える。
本書を書いたのは、哲学者であり歴史家ではない。
それ故に、相対化した第三者的な目で「歴史哲学」を俯瞰していると言える。
ベルンハイム・ヘーゲル・マルクス・コリンウッド・クローチェ・ウェバー・三木清etc...と近現代の著名な哲学者・歴史学者の「歴史哲学」を丁寧に見ていき、それに対して問題点を指摘しながら、各章が続いていく。
読み進む内に、歴史に対して今まで無意識的に立っていた自分の立場が浮き彫りにされるようで、「歴史を見ること」の難しさを痛感させられる。
その一方で、その土台を見つめ直す良い切っ掛けとなった本でもある。
哲学のみならず、歴史に興味ある人には是非手に取って欲しい一冊であろう。
その上で、自らの足下を見つめ直し、固めることができれば、氾濫する情報に踊らされることなく、「歴史を見る目」が養われるであろう。
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[ 文庫 ]
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ユダヤ戦記〈2〉 (ちくま学芸文庫)
・フラウィウス ヨセフス
【筑摩書房】
発売日: 2002-03
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,312円〜
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・フラウィウス ヨセフス ・Flavius Josephus
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カスタマー平均評価: 5
エルサレムの城壁破壊が含まれている巻 この文庫本サイズのユダヤ戦記は3巻セットになっていますが, この第2巻にはネロン帝の死やティトスによるエルサレムの包囲 が含まれています. (エルサレムの神殿炎上については第3巻)第1巻はヨセフス以前の歴史から振り返って書かれていた為, この第2巻がヨセフスの生きた時代と最も重なっています. それだけに詳細な内容が書かれています. ただ時代を追って出来事を説明するだけでなくその背景 (ローマ軍の平時の訓練について,など) についての描写も含まれています. ユダヤ戦記3巻セットのうちどれか1冊を読もうと考えている人 にはお勧めの1冊です.
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[ 文庫 ]
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美術という見世物―油絵茶屋の時代 (ちくま学芸文庫)
・木下 直之
【筑摩書房】
発売日: 1999-06
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,312円〜
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・木下 直之
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カスタマー平均評価: 5
抜群のバランス 価値観も言語も違う江戸と明治以降を成功裡にブリッジしている。著者は、見世物から美術へ
の変容(見る側における意識、実際の姿の双方が同時進行する)を見事に描き出す。認識にま
で影響を及ぼした歴史の転換を記述するのは曼陀羅を文字化するような原理的な困難を伴うと
いえ、方法としては非常な注意が求められるが、それを論点とする著者のスタンスは実に確か
である。挙例による牽強付会も、仮説に基づく牽強付会も見られず、仮説と検証のバランスが
うまく保たれているのは出色。著者にしたら当然ながら、現在の自ら(ここでは少なくとも明
治以降)の言語・価値観で、別時代(延いては別地域にも当てはまるといえる)に踏み入るこ
との危険性を改めて確認させられる。
結果、全編を通した著者の筆致を通じて、筆者は一つの語り(騙りであったとしても)として
実に楽しく、一気に読み通せた。図らずも、見世物における口上の重要性を知らされた気すら
する。見事に描き出された姿を通じて江戸の豊饒を知ると同時に、明治期における近代の受容
のありようが現在の状況に対する批判的検討の礎になる(同時に、伝統日本の限界も見えてく
る)と知ることを、本書の成果がもたらす副産物と云ってしまうとしたらあまりにもったいな
い話だろう。
(私は平凡社版で読んだ)
日本近代美術史への異議申し立て かつて兵庫県立近代美術館学芸員として「日本美術の19世紀」という衝撃的な展覧会を開いた著者が、その内容の一部をさらに詳しく論じた書物。生人形、見世物としての油絵など、幕末明治期の美術の周辺に置かれてきた造形表現を広く探り、日本近代美術史の再考を迫った。著者は、もちろん移植された制度としての〈美術〉に自覚的だが、制度自体の沿革をたどろうとするのではない。あくまでも具体的な資料そのものから眼を離さず、大量の物と文献とを注意深く公平に検討することを通じて、この制度の呪縛から軽やかに逃れ出ている点がすぐれる。江戸時代までと明治以降との連続性を常に意識し、いわゆる古美術に対する判断にも偏見がない。そこに浮かび上がるのは、美術行政・美術教育・美術展覧会の外側で、そして美術史学の外側で作られ続けていた幕末明治の造形の多様でエネルギッシュな姿にほかならない。平凡社の叢書が初版だが、ちくま学芸文庫で復刊されたのは、より広い読者を得るために喜ばしいことだった。
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[ 文庫 ]
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満州国の首都計画 (ちくま学芸文庫)
・越沢 明
【筑摩書房】
発売日: 2002-07
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,288円〜
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・越沢 明
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カスタマー平均評価: 5
日本人による、「空前絶後」の都市計画・都市形成 本書は、満洲の中心地・長春、満州国の首都・新京が、中国・ロシアを経て日本人の手腕の下でどのように都市計画・都市形成されたのかを、資料と証言に基づいて丹念に書き綴った一冊。満洲地域についての歴史的・政治的経緯の説明は最小限にとどめ、具体的な施策とその背景、結果として実現した都市形態の描出とその評価に多くの紙幅が割かれているのが、読んでいて非常に興味深い。ほかの満洲関連の歴史書を読んだ上でこの著作に取り組めば、満洲と満州国について新たな視点を持ちえるのではないか。
それは例えば、日本における都市計画の父である後藤新平とその継承者たちの多くが、東北地方を中心とする北の地方出身であること、さらに技官であり当時の法科万能の風潮からは浮いていた気味があること、そんな外れものの境涯は満映の甘粕正彦、関東軍の石原莞爾についても見受けられて、だからこそ満洲で彼らは業績を残しえたのだろうということ、彼らにとって最大の障害になっていたのは同胞であるはずの日本人であったこと、などだ。本書の主題に即していえば、満鉄・満洲国が行った都市計画は日本人が行ったものとしては空前絶後の出来映えであったことは、著者によって手を変え品を変え証し立てられる。そこには、空前の出来映えであることへの誇らしさと、絶後になってしまっていることへの怒りが共にこめられている。
ここで詳述されている都市計画と都市形成は、日本人が満洲で何をやったのか、という問いへの唯一の答えではもちろんないのだろうが、胸を張っていえる一つの成果ではあると思う。 戦後都市計画のルーツ 水洗トイレを普及させるためには小学校を水洗化して子供から親に使い方を教えさせたという
そういう発想って面白いよな
そのほかにも包囲されたときのための水源の整備とか、日本ではありえないものも多い
また都市計画税のルーツになるものも語られている
コレを読んで今の東京を眺めてみるとがっかりすること請け合いである
このがっかり感だけでも値段はほぼ回収できたようなものである
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[ 文庫 ]
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近世日本国民史開国日本〈1〉ペルリ来航以前の形勢 (1979年) (講談社学術文庫)
・徳富 蘇峰 ・平泉 澄
【講談社】
発売日: 1979-03
参考価格: 504 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,300円〜
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・徳富 蘇峰 ・平泉 澄
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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幕府衰亡論 (東洋文庫 (84))
・福地 源一郎 ・石塚 裕道
【平凡社】
発売日: 1967-02
参考価格: 2,310 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,300円〜
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・福地 源一郎 ・石塚 裕道
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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鈍翁・益田孝〈上巻〉 (中公文庫)
・白崎 秀雄
【中央公論社】
発売日: 1998-09
参考価格: 880 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,300円〜
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・白崎 秀雄
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カスタマー平均評価: 0
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[ 新書 ]
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勝鬘経義疏、維摩経義疏(抄) (中公クラシックス)
・聖徳太子
【中央公論新社】
発売日: 2007-03
参考価格: 1,838 円(税込)
販売価格: 1,838 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,300円〜
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・聖徳太子
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カスタマー平均評価: 5
名著「三経義疏」から 聖徳太子の撰と伝えられる『三経義疏』…「法華経義疏」「勝鬘経義疏」「維摩経義疏」のうち「法華経」以外の二書を解読・解説したものである。お経そのものをこんなに懇切丁寧に分かりやすく説いてくれた書はそう多くあるまい。
「勝鬘経義疏」は勝鬘夫人を主人公としている。勝鬘経とは、在家の仏教信者・勝鬘夫人の説法を褒め称え、彼女の言葉を補った教えである。本経の説く如来像思想は、人間の思想と実践に関する哲学的・宗教的探求の究極のものと言われてきた。
「心の過悪と、および身の四種とを降伏して、すでに難伏地に到りたまえり。是の故に、法王を礼したてまつる」(勝鬘経義疏)
「維摩経義疏」は維摩詰という在家の富豪を主人公としている。「衆生が病むかぎり私も病み続ける」という大乗仏教の慈悲による病にかかっている。維摩は空や無執着など、大乗仏教の重要な思想を説示していく。在家の日常生活に活かす方法が模索されている。
「そもそも女人の性は楽しむことを美しとしている。もしも法の楽しみを明かして、それによって女人の五欲の楽しみに代えてやるのでなければ、おそらくは五欲の楽しみを忘れがたいであろう(維摩経義疏)
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[ 新書 ]
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二人の本因坊―丈和・秀和ものがたり (静新新書)
・永岡 治
【静岡新聞社】
発売日: 2008-09
参考価格: 1,300 円(税込)
販売価格: 1,300 円(税込)
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 1,996円〜
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・永岡 治
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カスタマー平均評価: 0
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