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[ 文庫 ]
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グランド・ツアー―英国貴族の放蕩修学旅行 (中公文庫)
・本城 靖久
【中央公論社】
発売日: 1994-11
参考価格: 734 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,420円〜
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・本城 靖久
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カスタマー平均評価: 4.5
奇麗事だけでない貴族社会の側面 かつて英国の貴公子たちの子弟教育に欠かせないものだった「グランド・ツアー」。その珍道中を、ときに泥んこの悪路の通行や詐欺師や娼婦たちとの触れ合いも交え、興味深く書く。あまり世界史に興味あるほうではないが、こういう意表をついた内容は大歓迎だ。 目から鱗の必読教育書 本書は18世紀の英国貴族たちが、子弟教育において「旅」が果たす効用をどれほど重要視していたかを豊富な資料と見事な筆裁きで私たちに教えてくれる好著である。 確かに、松尾芭蕉は「旅」することにより「奥の細道」を完成させ、坂本竜馬は江戸への剣術留学により彼の政治観が芽生えたといわれる。また、ドボルザークはアメリカへ旅することにより「新世界交響曲」を完成させた。このように、「旅」が私達に与える影響は古今東西を問わずまことに大きい。 「かわいい子には旅をさせろ」という諺の精神は、正に「グランド・ツアー」に源を発していることを読者は理解するようになる。英国の奥深さを知る上でも必読の書として強く推薦する。 入門書として最適 グランド・ツアーのあらましが面白く描かれている。非常に読みやすく、また、手軽にグランド・ツアーについて知ることが出来る良書。旅のコースに沿って話が進められており、当時の風俗・風景も生き生きと伝わってくる。 ただ、副題にも見られるように放蕩の側面が強調されすぎているきらいがある。 グランド・ツアーとは言えないカザノヴァ、モーツァルト、ギボンの旅や中流以下の人々の商用の旅も区別なく取り上げられている点は、注意して読まなくてはならない。
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[ 文庫 ]
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藤原道長「御堂関白記」 中 全現代語訳 (講談社学術文庫)
【講談社】
発売日: 2009-06-10
参考価格: 1,418 円(税込)
販売価格: 1,418 円(税込)
( 在庫あり。 )
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カスタマー平均評価: 0
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[ − ]
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モスクが語るイスラム史―建築と政治権力 (中公新書)
・羽田 正
【中央公論社】
発売日: 1994-03
参考価格: 795 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,415円〜
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・羽田 正
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カスタマー平均評価: 5
宗教建築「モスク」から迫るイスラームの歴史 ユニークな本である。モスクはアラビア語でマスジドという。キリスト教の教会や仏教の寺院などとは、モスクは大分性格がことなる。教会や寺院は、拝む対象のキリストの磔刑像やマリア像、あるいは仏像が置いてあって、それを信仰する場所である。一方イスラームの信仰対象はアラビア半島のメッカのカーバ神殿の聖石だけである。モスクは「メッカに向かって祈るために設定される場所」であって、かならずしも建築物である必要はない。極端な話、自分の部屋でコンパスでメッカの方向を確認して、イスラームのやり方にならってお祈りをすれば、そこが「モスク」である。イスラーム創始時のモスクのあり方はそうであって、現在でも「方向を定めて礼拝する場所」という性格は、大方変わらない。一方、建築物・イスラームの人々の交流の場としてのモスクの発展というものがあって、本書ではこの面が詳述されている。最古の建築物モスクは、メディナにある「預言者のモスク」。これは預言者ムハンマドの家であって、もともと長方形の信者を集める集会所を兼ねた掘立て小屋のようなものであった。時代が進むにつれ、ビザンチンのキリスト教寺院の様式を取り入れた建築物としてのモスクが多数建造され、イスラーム世界のなかでも地域ごとに様々な様式のモスクが生まれていく。建築物としてのモスクは、時の権力者の威光の内外に知らしめる役割が与えられるようになり、ついにオスマン時代に入って、東西交通の要、イスタンブルに威容を与える巨大モスク群に結実する。この本は、本来「建築物」である必要のない「礼拝の場所」であったモスクがイスラームの威光を高めるための建築物として発展していった過程を丹念におった興味深いイスラーム史であるといえる。
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[ 文庫 ]
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島根のすさみ―佐渡奉行在勤日記 (1973年) (東洋文庫〈226〉)
・川路 聖謨 ・川田 貞夫
【平凡社】
発売日: 1973
参考価格: オープン価格
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,410円〜
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・川路 聖謨 ・川田 貞夫
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カスタマー平均評価: 0
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[ 新書 ]
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決闘裁判―ヨーロッパ法精神の原風景 (講談社現代新書)
・山内 進
【講談社】
発売日: 2000-08
参考価格: 714 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,408円〜
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・山内 進
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カスタマー平均評価: 5
決闘裁判――当事者主義の原風景 ▽決闘裁判はなぜ存在したのか
聖俗未分離の下での自己中心的世界認識の蔓延と集権的権力の不存在のため。
〈神が真実を見、個々の出来事についても正義を実現してくれる、という人々の
共通感覚があって、はじめて神の前での戦いが成立しうるから、自己中心的
世界認識が決闘裁判の前提にあった、と考えることは妥当であろう〉
中世ヨーロッパでは、国王権力が絶対的な力を持っていなかった。
決闘裁判は、そうした権力分散的な政治・組織構造にみあう裁判制度だった。
▽決闘裁判とは
・自力救済としての私戦を裁判の中に閉じ込め、神聖で
公的なものに転化させ、復讐の連鎖を断とうとしたもの。
・暴力を禁圧しえない国王権力のもとで実行された、さまざまな
実力行使を公的な裁判という回路へと向ける手段。
〈決闘裁判は当事者主義の原風景をなしている。それは、自己の権利を守り実現
するためにフェアに戦うことこそ正義であり、そのために裁判があると考える。
ここでの裁判は、国事としての重々しく権威ある儀式ではない。それは、まず
なによりも個人の権利・義務をその個人の責任において公平に確定するための
空間、自立した個々人が互いにルールを守って戦う空間である。
そこでの主役は、裁判官ではなく、当事者である
すべてを見通す裁判官ではなく、戦う自分自身である〉 苛烈な「原風景」 昨今の改革のブームの中で連呼される「自己責任」だの「個人の能力の時代」だのという空疎なアジテーション。しかし、その中核にある「個人」という概念はヨーロッパの独自の歴史のなかで作られたものであり、おリベラル知識人のたわごととはちがって、実は過激なものを秘めているのだ!その「個人」や「権利」、「正義」の過激さを見せつけてくれるのが 『決闘裁判 ヨーロッパ法精神の原風景』(山内進:講談社現代新書)です。 決闘裁判とは何か。 その名のとおり、普通の裁判では決着のつかない問題をなんと当事者間の「決闘」、デュエルで解決してしまおうというとんでもない中世の制度であります。ゲルマン民族の野蛮さよ(笑)。 しかし、例え身分が違おうが性別がちがおうが、装備と条件にハ
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[ 文庫 ]
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明治叛臣伝 (1953年) (青木文庫〈第146〉)
・田岡 嶺雲 ・西田 勝
【青木書店】
発売日: 1953
参考価格: オープン価格
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,400円〜
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・田岡 嶺雲 ・西田 勝
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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戦略爆撃の思想―ゲルニカ―重慶―広島への軌跡〈下〉 (現代教養文庫)
・前田 哲男
【社会思想社】
発売日: 1997-02
参考価格: 1,121 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,400円〜
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・前田 哲男
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カスタマー平均評価: 4
知られざる重慶爆撃を詳細にえがきだしている [凱風社版 「戦略爆撃の思想」 の書評]
重慶爆撃は日中戦争の重要な部分であるにもかかわらず,あまりとりあげられることがない. 書籍としては 「重慶爆撃とは何だったのか」のほうが手ごろだが,そこからはわからないさまざまな点がこの本によってあきらかにされる.この日本軍による執拗な無差別爆撃によって重慶やその市民がどういう被害をうけたかはもちろんのこと,ゲルニカにはじまり東京大空襲や広島・長崎につづいていく無差別爆撃のなかでの重慶爆撃の位置づけや,現在も尾をひいている中国人の対日感情,日米戦争への影響なども論じられている.
2 段組で 640 ページにわたってぎっしりと書かれた本ではあり資料価値はたかい. しかし,ひとつ不満があるのは,ほとんど個別的な情報が収集されているだけで,統計がわずかしか書かれていないことである. 過去の一地域に関する統計をあつめるのは困難だろうが,もうすこし情報をあつめることはできなかったのだろうかとおもう. 「重慶爆撃とは何だったのか」 にはいくつかの統計がふくまれているので,補足することができる.
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[ 文庫 ]
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どん底の人びと―ロンドン1902 (岩波文庫)
・ジャック ロンドン
【岩波書店】
発売日: 1995-10
参考価格: 735 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,400円〜
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・ジャック ロンドン
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カスタマー平均評価: 5
大英帝国の影にメスを入れた秀作 アメリカの小説家ジャック・ロンドンが1902年の夏にロンドンの最下層の生活の中に
入って書き上げたルポです。
世界で最も裕福な大英帝国の中心地ロンドンというのは、当時だれひとり否定する
ことがなかったことで、その暗部に迫り、現実のロンドンの貧困を、鋭い洞察力を持って
書き上げたジャック自身も、あまりにも酷い貧民街イースト・エンドの状況に驚いている
ことが理解できた。自らイースト・エンドの生活レベルに合わせ、貧民者に成り切って
の正にフィールド・ワークは、今日のあらゆる研究の原点ともいえるだろう。
当時のロンドンの様子が手に取るように理解できる点は、社会学、経済学的にも価値が
ある内容で、また、カナダのイヌイット族と英国人の比較などはジャックだからできた
ことかもしれない。
将来のアメリカを含めた、文明の発展に警笛を鳴らしたジャックは、現在でも十分に
通じるものがあり、その後の社会主義思想者へ影響を与えたことは言うまでもない。 隣人の悲惨に目を覆う者は世界に対する裏切り者だ! ボーア戦争を取材する予定だったが急にキャンセルされてしまった為、ロンドンがロンドンの(駄洒落ではない)イースト・エンドに潜り込んで約七週間最下層貧民の暮らし振りを体験して書き下ろした迫真のルポ。統計資料等に頼って書いている部分もあるが、エドワード国王の戴冠式に賑わう世界の大都市の繁栄の陰にはびこる目を覆うばかりの貧困の実態と、それを生み出し剰え助長する社会制度についての告発が怒りを込めて生き生きと描かれている。
内容はいちいち紹介しているとキリがないので、以下に目次を記しておく。訳文については一長一短だが、この岩波文庫版は各章冒頭に掲げられている詩文もきちんと訳出しているし、数点収録されている写真の印刷状態も鮮明で良好、幾つかある邦訳の中でもお薦め出来るものとなっている。
序文/奈落で暮らし出す/ジョニー・アプライト/私の下宿のことなど/どん底とある男/瀬戸際の人びと/フライパン横町と地獄/ヴィクトリア十字勲章受章者/荷馬車屋と大工/浮浪者収容所/「旗をかつぐ」/給食所/戴冠式の日/波止場人夫ダン・カレン/ホップとホップ摘み人夫/水夫の母/「財産」対「人間」/非能率/賃金/ゲットー/喫茶店と安宿/不安定な生活/自殺/子供/夜の光景/飢えの嘆き/飲酒と禁酒と節約/管理運営
因みに、元々"People of the Abyss"と云う言葉を考え出したのはH.G.ウェルズ。ウェルズもロンドンも文明改革の熱情に燃えて社会主義的な小説を幾つもものしたが、ウェルズが教育や合理性、人間の知的な可能性に重点を置いたのに対して、ロンドンは独特な弱肉強食的世界観で味付けをしており、仲々に迫力がある。興味を持たれた方は他の小説等にも当たってみることをお勧めする。
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[ 新書 ]
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日本と朝鮮 (1966年) (日本歴史新書)
・中村 栄孝
【至文堂】
発売日: 1966
参考価格: 515 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,400円〜
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・中村 栄孝
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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新編・おらんだ正月 (岩波文庫)
・森 銑三
【岩波書店】
発売日: 2003-01
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,399円〜
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・森 銑三
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カスタマー平均評価: 5
成熟した江戸日本社会を築いた人々 まずタイトルについてだが、やさしく牧歌的な印象を与えているという点で、本書の特徴をよく示している。しかし、蘭学者ばかりを取り上げているのではない。
江戸初期から末期に至るまで、医家、本草家、探検家、発明家、思想家などの個性豊かな偉人が取り上げられている。
江戸時代はともすれば「暗い閉鎖的な」時代などとみなされがちである。確かに現代のわれわれほど自由ではなかったかもしれないが、現代社会の基礎を築いたのは彼らなのである。どんな時代でも探究心や向上心をもって粉骨砕身で事を為そうとした人たちはいたのである。
「明るく前向きな」江戸時代に、豊かな文化社会を培い、明治以降の近代化を可能にした人たちをやさしく解説している。現在の学術水準からは厳密には問題がないではないが、本書で興味を持った方は各人物にして色々と調べてみるとよいだろう。 江戸期日本の科学発展に寄与した人物をやさしく解説 江戸時代に様々な科学分野で活躍、寄与した人物を50人ほど紹介している。森銑三氏は明治二十三年に愛知県に生まれ、書物研究、人物研究に打ち込んだ人物である。本書は児童啓蒙雑誌「子供の科学」から依頼された江戸時代の科学者たちの伝記物語を一冊の本にまとめたもので、なぜ『おらんだ正月』と付けたのかは、本書前文にあるので、それに目を通していただきたい。子供向けとあって「ですます体」の読みやすい筆致で気楽に手に取ることが出来る。取り上げられている人物は、伊能忠敬、間宮林蔵、平賀源内、貝原益軒、青木昆陽、関孝和、杉田玄白、佐久間象山といった著名な偉人から永田徳本、陶山訥庵、戸田旭山、山脇東洋などあまり耳にしない人物にまで及ぶ(私が知らなかっただけかもしれないが…)。
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