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[ 単行本 ]
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アカペラ
・山本 文緒
【新潮社】
発売日: 2008-07
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
Amazonポイント: 14 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 266円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4
切れ具合が・・・ 本当に久しぶりの山本さんの作品ということで
期待して手に取りました。
表題作のアカペラ、「あれっ??これ、本当に山本さんの作品?」
と思ってしまいました。
すべての山本作品を読んでいますが、彼女の持ち味の鋭い人物描写の
切れが悪い、上滑りな印象でした。
ブランクが長かったせいなのかもしれません。
他の2作品はまずまずでしたが、凡庸な印象。
体調を崩されたりと色々あったようなので、
時間がかかってもまたあの切れ味の復活を期待しています。 残酷だけど、あたたかい 毒気が減って、以前よりストレートで温かいお話を書くようになったんだなぁ、というのが素直な感想。
でも、そこは山本文緒。よしもとばななみたいに、ただのいいお話では終わらない。
相変わらず文章、話の展開の巧さ、ほんとすごい才能だと思う。
ブランクからの復活ということですが、やっぱりこれからもどんどん書いて欲しい。
3作品とも、とても満足のいくデキだと思う。
すごいですねー すごいですねー
うまいですねー
シチュエーションの造りとか桐野夏生以上だと思いました
このようなすごいシチュエーションを何十連打もしてしまう「ファーストプライオリティ」はやはり超名作と思うけど、今回は死生観というか死がテーマになってるんですかね
だから連打するのは体力がいるのでしょうね
最高傑作という帯はどうかと思う部分もありますが、最高傑作と言われても否定できないくらいの名作とおもいます 人生とは、きっと、日常を生きているということ。
カタカナのしずかな短編が3つ。
淡々と、それでもたくましく歩いていく少女だったり、
漂々と、どこまでも流されていく青年だったり、
黙々と、揺るがない女性だったり。
社会という器からほんの少しだけはみ出ていて、
地味に健気に、でも一生懸命に、毎日を生きている。
あたたかいココアが入ったマグカップに両手を添えたような、
穏やかでゆったりとした時間が流れている。
生きていくことの困難さと美しさ さすがに、山本文緒はすごい、と思った。どの一行も丁寧に書いていて、そして、行間からそれぞれの登場人物達のどうしようもない生きていくことの困難な状況が描かれている。誰もが困難な状況を抱えているのに、でも、誰もが一生懸命で誠実である。「ソリチュード」の主人公なんか、1ページ目から自分で「駄目男」と自称しているので、本当にそうなんだろうと思っていると、途中から、色々な事情がわかってくる。「ネロリ」のココアちゃんも、バカな若い女の子だと思っていると、ラストで不意打ちに会ってしまう。
いつもながら山本文緒は油断ならない。気持ちの良い不意打ちの感動はこの人ならではの技だと思う。(「ネロリ」の最終の4行とか)。これからも、ずっと驚かせて欲しいけれど、この高さのレベルの小説を描き続けることは作者の身を削ることなのかもしれないと思うと、少し心配だったりする。
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[ 文庫 ]
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恋愛中毒 (角川文庫)
・山本 文緒
【角川書店】
発売日: 2002-06
参考価格: 600 円(税込)
販売価格: 600 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4.5
読後感不思議 久々にすごい作家さんの本に出会った感じです。
書評に〔面白い〕と書かれていて買ったのですが笑える方の面白さではなく読み応えというか世界に引き込まれるような、、、そんな魅力のある話でした。
リアルじゃない設定をリアルに感じさせ、構成の巧さ話の混ぜ方(これもリアルに感じさせるテクニックなのか?!)で小説の中に滑り落ちるようでした。
読み終えてズーンでもウーンでもジーンでもスッキリでもない不思議な読後感が残ります。
例えるなら、知り合いの知り合いのすごい話を聞いた後のような感じ?
読み応え充分でこの作家さんのほかの小説も読みたいのですがハッピーな内容のものがないようなので暫くは手を出さないようにします。
だって読んだ後静かな怖さと微妙な墜ち感が残るんだもん。 皮肉なタイトル ものすごく自己愛の強い主人公。でも、そのことにまったく気が付いていない悲劇。
上手いと思った。皮肉的だと。
この主人公は、自分は他者を愛しすぎる、それが人生を破滅させる、と思い込んでいるが、実は全く他者を愛してはいないし、恋してもいない。
恐らく仕方もしらないんだろう。
興味は自分に対してしかない。
自分の生活への経済的な不安。孤独。それを埋めてくれるであろう、たまたまそこにいた相手に執着しているだけだ。
尽くしている。相手のことを常に尊重している、いいなりになっている、と思い込んでいる。
恐ろしい。
不安と孤独とコンプレックス(誰にでもあるだろう程度のものとしてしか描かれていない)が、屈折した自己愛へ向かわせていく、というのは理解できる。が、その程度の、誰でも持っているだろう不安やコンプレックスでここまでなるだろうか?という疑問も残る。
でもこの筆者の巧さは、それを、多分、自分にもこういうとこあるかも、と、読み手に思わせているパワーだろう。
読み物としてなかなかすぐれているし、読む価値がある作品だと思う。
でも、これを恋愛小説(私はこのタイトルは皮肉だと捉えているので)
だと思って読んでいるとしたら、ちょっと寂しい気がする。
幸せになれなさそうで・・・。
一途な恋の行き着いた先は…。 本作は、導入部分は、気性の激しい恋人を振ったばかりの若い男性の独白ですが、
職場に押しかけてきた女性をあしらうのに協力してくれた同僚の中年女性と酒を飲むうちに、
いつしか、本論である、その中年女性の回想へと移っていきます…。
バツイチで、自分を惑わせる恋愛感情を、あたかも酒タバコのように断つことを堅く決意し、
弁当屋でバイトしながらコツコツ翻訳をして生計を立てようとする女、水無月。
しかし、ある日バイト先に現れた男に親しくされたことから、
再び、彼女は恋愛に溺れていくようになる…。
かつての失敗を繰り返したくない、もう傷つきたくない…。
こんな恋愛が上手くいくはずがないことは分かりきっている…。
それでも、自分に正直に振舞う水無月は、いつしか男にしっかり命綱を結び付けていた…。
本作のポイントは、水無月の生々しい感情が終始吐露され続けていること。
それによって、男女を問わず、真剣に取り組んでも上手くいかなかった恋愛を経験した方に、
少なからず共感を覚えさせる点に尽きると思います。
私はこんなに精一杯尽くしているのに、どうして相手は振り向いてくれないのか…。
しかし、同時に注目すべきなのは、一見ありふれた切なさや嫉妬心を抱く水無月が、
少しずつ狂気を帯びてくるところ。だんだん謎めいた彼女の本性があらわになってきます。
とはいえ、別に非現実的な、血みどろの惨劇が展開されるわけではないのでご安心を。
特に終盤の疾走感はたまりません。素晴らしくも哀しい物語であり、お薦めです。
著者の代表作 構成も非常に面白く、読みやすいです。また、著者独特の強烈にネガティブな思考が所々にみられて読み応えがあり、刺激を受けることができます。「過去にもしを持ち込むな」などドキっとする言葉も多く登場します。
一年後もう一度読みたい作品です。 中毒 この本、本当に好きです。
淡々とした中に本当に人を愛しすぎて戻れない気持ち。
自分自身も経験しそうになった手前恐くなるほどでした。
とか言いつつ、もう10回以上読み返してしまう程、ハマった・・
大好きな本です。ちなみにこれを期にこの作者の本はすべて読みました!!
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[ 文庫 ]
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絶対泣かない (角川文庫)
・山本 文緒
【角川書店】
発売日: 1998-11
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4.5
男に読ませたい 正直言って、人に勧められなければ、絶対手には取らなかっただろう。けれども、読み始めれば、これは、女性読者にだけ読ませておくのはもったいない、ぜひとも男にも読んでもらいたい物語集であることを実感した。女性を主人公にし、男が泣ける、というのは、やはりこの著者ならではの手腕だろう。 ガンバルぞ!! いろいろな女性のガンバる姿に励まされます。
私は特に失恋から立ち直ろうと仕事に打ち込むデパート店員女性のお話が大好きです。
何回読んでも泣いてしまう。気持ちに共感してしまいます。
でも
『人間ガンバればいいことあるんだな』
って素直に思わせてくれる本です。 さまざまな職業 さまざまな職業の女性の短編集。みんな人それぞれ悩みは違うのだなと思いました。これを読んでいて自分の悩みはちっぽけな物と感じる人はきっと幸せな人です。この本を読んでまだまだがんばりましょう。仕事や恋の悩みを吹き飛ばしましょう。 あなたはお金が好きですか? 十五種類の職業を取りあげ、働く女性を応援している。
それぞれの物語は、仕事上で辛い思いをしながらも、希望に満ちた閉じ方をしている。
特に注目したいのが、著者自身の後書きだ。
著者は職業の意義を、単純明快に割り切ろうとする。
仕事の目的は、まず金だと公言し、金があれば、色々な事が出来ると強調する。
次に、あなたの仕事が好きですか?と問いかけ、必ずしも好きでなくても良いと説く。
色々な職場で奮闘する女性を描いた後、この明確な見識を示すのは見事だ。
私は、この様な、明瞭な物言いは好きだ。
最後は「あなたがあなたの仕事を好きになれますように」と結ぶが、
著者がいくつもの職場での、働く女性を描いたのは、実はプロローグであって、
本題はむしろ、この後書きの方だという気さえする。
何事にも、良い面と悪い面の両面がある。
悪い面にばかり目を向けてもつまらないし、後ろ向き過ぎる。
良い面に目を向けて、胸を張って生きたい、という風に私は感じた。
著者は、人生の心構えのヒントを、包み込む様な温かさで示してくれる。 女性と仕事 さまざまな病気を抱えた女性を扱った短編集「シュガーレス・ラブ」も面白かったですが、本書もテーマが「仕事」ということで、さまざまな女性の仕事を扱った楽しい短編集でした。
ブラックユーモアあり、あったかいものあり、と内容は盛りだくさんですが、共通して言えることは、女性にとって「仕事」とは単なる生活していくための経済的理由だけでなく、精神的に充実するためのものでもあるということです。仕事に「夢」を求める気持ちも、男性より女性のほうが強いような気がします。(特に若い独身女性は)。
山本氏の文章は相変わらず読みやすく、オムニバスドラマを見ているかのように、すらすらと読めました。
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[ 文庫 ]
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プラナリア (文春文庫)
・山本 文緒
【文藝春秋】
発売日: 2005-09-02
参考価格: 510 円(税込)
販売価格: 510 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4
共感と反感と 勧められて数年。どれもが1999年から2000年にかけて、雑誌に発表されたものである。そのため、今ならおそらく携帯電話となりそうなところがPHSだったりして、懐かしさを感じた。
自分が傷ついているからと言って、他者を傷つけていいのか。そうではないだろう。それはないだろう。だけど、自分もしたことがないとは言い切れない。そういう醜さを敢えて描き出すような露悪的な短編が収められている。
そこに共感するか、反感を持つかは、読み手しだいであろう。私だったら自分を重ね合わせてしまうとその醜悪さに凹みたくなる。が、自分だけではないと安心を感じる人もいるのだろうか。
5編あるうちの、女性が主人公である4編はそういう心地悪さがどこかしらにあったが、男性が主人公である5編目は少し雰囲気が違って感じて、ちょっとほっとした。 買いですが・・・。 内面に欠損した部分があるために不可避的に周囲との齟齬を生じてしまう、数人の女性を主人公に据えた、いくつかの物語です。細部に読ませる工夫がいくつも仕込まれていて、読みながらかゆいところに手が届くような巧さが随所で光ってはいるのですが、読んだ後いつまでも記憶に残る作品であるかと問われれば、答えは否と答えざるを得ないように思います。 少々時代が変わりすぎたかも この著者の文章は、小気味良くて割と好きだ。出てくる女性も、自分と物すごく重なる部分が多く、苦笑しつつも共感する。
ただ、書かれた時代を極端に反映しているので、今の女性が読んでも、わけのわからないところがあるかもしれない。要するにバブル期の、ちょっと働けばそれ以上の報酬が期待できたころの話が多いわけで、30代のプーのおばさんが2,000万円の貯金を持っていたりする。今はどんなに優秀で頑張ったって、これは無理だろう。
バブルのころってこうだったんだというお勉強にはなるかもしれない。 気だるい。。。 帯に書いてある一言を読むと、「働かないって、いけないこと?」と。絶句。
物語の出だしは面白いんですが、
とにかく、社会からドロップアウトした中年女性の話なので、気だるさが抜けない。
一番面白かったのは、「囚人のジレンマ」という短編。
この理論はとても興味深く、米ソの冷戦問題や写真プリント代が0円になってしまったのもこの理論だそうです。
全般的に気だるいので、マッタリしたい方にはお勧めかもしれません。 直木賞作家の山本文緒が綴るリアリスティックな女性論! 3年に及ぶ鬱病記録を大胆に日記風にまとめた『再婚生活』が刊行されたという記事を通じて初めて彼女の名前を知り、山本文緒の小説に興味をもった。新聞記事のインタビューで彼女は、「今の私に小説はプレッシャーです」と語っていた。本書は124回直木賞受賞作「プラナリア」を含む計5作品が所収されている。読み終えて、女性の心理や悩み・葛藤は尽きないものであり、それらは多くの女性が直面する問題であるとはいえ、男性にはなかなかその真意が分からないような気がした。「女性である(いる)こと」それ自体がすでにある種の悩みの源泉である以上、男性に理解し難いことが多いのは当然といえば当然だ。女性によく使われる「第六感」は男性には備わっているのだろうかと一人感慨に浸った。
乳がんを患った女性、キャリアウーマンから一転して無職になり離婚も経験した女性、年頃の息子と娘をもちパートや介護にも余念がない主婦、社会人の女性と大学院生の男との結婚観の相違、離縁しても娘を「俺の女」と思い続ける居酒屋の男と風変わりな女との変哲のない生活ぶり、といった主題がとてもリアルに描かれている。いや、私にはリアルすぎた(第4作品の女性の貞操観念は私には理解しがたい)。作者は大学卒業後に一時期OLをやっていたそうだが、そうした自らの体験も作品に活かされているのかもしれない。
個人的には最後のエッセイ「あいあるあした」が特に印象深かった。それ以外の作品は基本的に女性目線でストーリーが展開してゆくのに対して、本作品は36歳の男性のそれであるためか、妙に親近感が湧いたのであろう。それにしても本書所収の各エッセイはなかなか「幸せな結末」で終わらない。微妙に後味が悪いといえば悪いが、それも女性の心理は複雑でとても一筋縄ではいかないという作者のメッセージなのか。陸上選手の為末大が推奨していた『恋愛中毒』を読むのがなんだが恐ろしい(笑)。
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[ 単行本 ]
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再婚生活
・山本 文緒
【角川書店】
発売日: 2007-06
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
Amazonポイント: 14 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 49円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4
素人のブログかと 「恋愛中毒」や「ラプンツェル」が好きだったが、読んでがっかりした。考察もユーモアも見受けられないただの生活雑記で、闘病の凄みも葛藤も毒もなく、自己嫌悪も中途半端な愚痴でとどまっている。昔は面白かったのにな。リハビリとして許容してもいいのかもしれないけれど、帯の「傑作日記文学」は誇大に過ぎる。 読みきるのが惜しい 初めて読んだ山本作品。
面白い、うまい、悲しい。
欝の実態もわかり、人生の深さ、深淵に続々遭遇。
時たま鼻につくも、いいじゃん。 面白かった! エッセイとしても、闘病記としても、面白く読めました。 山本さんの正直な気持ちが飾らない言葉で書かれていて、すんなりと受け入れられました。「こうあらねばならない」という何かに縛られてるなら、気持ちよく打破してくれるはず。ああ、自分流でいいんだって。 なぜ出版したのだろう 作者はごく軽度の鬱病のようです。頻繁な、外出、外食、飲酒、ジム通い、買い物、飛行機での移動、きままな入院生活、などなど・・・作者の生活は鬱病で苦しんでいるほとんどの人はしたくても出来ない事のオンパレードです。あとはやっぱり自由の利く職業と、お金がある、ということが決定的に庶民とは違うとこですかね。読み終ってみて作者はなぜこの本を出版しようと思ったのだろう?というのが重度の鬱病の私の正直な感想です。共感できる所2、3行でした。 おかえりなさい! 再出発 私の小説家の好き嫌いは「エッセイが面白い人」「小説が面白い人」に別れてしまう。
私は山本さんの小説が好きで、コバルトもの以外は全部読ませていただいているが、
彼女の場合「エッセイ」が小説の原動力になっているところがある。
(前のほうが鬱っぽくなかったか?)
彼女が闘病生活を送っていたと聞いて、タイトルも内容も同じ経験のある私は興味をもって読んだのだが、「ちょっとがっかり」でありました。プライバシーもあって書けない部分もあったのかもしれない。
(リ××ンを飲まないと書けないくらいだったのだからお察しします)
もうちょっと「16歳のカルテ」的なものを想像していたので、「暗」の部分も書いて欲しかった。
病院でPCが打てたりお友達とお食事ができたり、闘病生活にしてはなんか楽しそうである・・・?
再出発でどんな小説をみせてくれるのか楽しみです。
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[ 文庫 ]
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かなえられない恋のために (角川文庫)
・山本 文緒
【角川グループパブリッシング】
発売日: 2009-02-25
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 51円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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みんないってしまう (角川文庫)
・山本 文緒
【角川書店】
発売日: 1999-06
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4.5
喪失感いっぱい。 覚悟はしていたけれど、
喪失感が満ち満ちあふれる作品。
読み終わって、“病んでる”
なんて印象を受けてしまうほど。
自殺する覚悟で愛を告白する女性。
好きなヒトのゴミを盗むことに快感を覚える女性。
小柄な喫茶店の店員少女に密かな恋心を抱く、中年男性。
山ほどの洋服があるのに着ていくものが決められない女性、などなど。
短編はどれも行き場がない終わり方。
それが当時の山本文緒の持ち味なのかもしれませんが。
小説って、読み手にその後の展開を、
ある程度方向性をつけてくれるものだと思ってたのですが、
彼女の作品は彼女の中でさえ、まだ終わっていないというか、
成長段階というか。
失うことに対する不安と恐怖が
そのまま表れているというか。
そんな印象をひしひしと感じました。
他の時代の小説も読んでみたいなあと思いました。 さらっと読める 電車の中や、部屋でゴロンとしながらさらっと読める内容です。
短編集の集まりで、あっという間に読み進めることができます。
内容も、「これってありえなくない?!」なんてことはなく、他人の私生活をちょっぴり
覗き見した気分になります。主人公のほとんどが、ちょっと貧乏臭く、
全体的に、内容が暗いです。この点においては、山本文緒さんらしい書きっぷりで
期待を裏切りません。
約10年前に刊行されている短編集ですが、人間の心は普遍的なものなので、
今の時代に読んでも違和感などを感じることはありませんでした。
総括すると、「暗いけど面白い。」「面白いけど、暗い。」といったところでしょうか。
不器用な女性に心惹かれる 山本文諸さんの短編を読んだのは「プラナリア」に続いて本書で2作目です。
生き方が不器用だったり、コンプレックスを抱いていたりする女性の描き方が
うまいです。そこにまた共感してしまうんですよね。
(といっても私は男性ですが...)
本書の中でお勧めは、
「ドーナッツ・リング」・・・若い女の子に心奪われる中年男性の心理。分かるなぁ。
「イバラ咲くおしゃれ道」・・・おしゃれに命を懸ける女性がコミカルで笑える。
山本文緒さんの作品、好きです。
「あなたには帰る家がある」や「恋愛中毒」などお勧めです。 共感 山本文緒さんの作品は女性の心理を捉えるのがとても上手で、いつも驚かされます。私はこの本を2度読みました。なる程とうなづく場面が多々あり、100%共感です。女性には色々な悩みがありますね・・。 共感というか、何か納得してしまいました。 タイトルのイメージそのままの「喪失」がテーマの12の短編集。1話20頁程度なので、とても読みやすいけれど、内容はなかなか濃いストーリーの数々です。日々の生活の中で、“もしかしたら…そうなのかも?!”と感じる様な事が、具体的な事柄となって押し寄せてくる感じで、読み終わった後、胸がイタイ。考えさせられました。寂しさや虚しさがこみ上げてくるけれど、それと同時に“自分だけじゃない、皆そうなんだ!!!”と納得して、希望も与えてくれる作品集です。個人的には、「いつも心に裁ちバサミ」「片恋症候群」「泣かずに眠れ」がグッときました。意外な展開の「みんないってしまう」や、おちゃめな「イバラ咲くおしゃれ道」はおもしろかったです。
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[ 文庫 ]
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日々是作文 (文春文庫)
・山本 文緒
【文藝春秋】
発売日: 2007-04
参考価格: 580 円(税込)
販売価格: 580 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4.5
エッセイも素敵です 恋愛、ひとり暮らし、お酒、直木賞受賞のときのエッセイなどもあります。
山本文緒さんの鋭い観察力に、何度も「なるほどー」と感心しながら読みました。彼女の本は小説しか読んだことがなかったのですが、雑誌などに掲載されたエッセイを集めたこの本は日常の山本さんを知ることができて新鮮でした。
ひとつのエッセイが2?6ページほどなので、こまぎれの時間に読むのも楽しいと思います。もっとも、私は楽しくて一気に読んでしまいましたが。 とてもココロに沁みたエッセイ集。 ひとりひとりの人間のものごとにたいする温度差。
たまの智久さんが『ひまのつぶしかた』の中で「ぼくの中には、暇を潰そうなんて乱暴な発想はないみたいです。
レックラー夫人の言葉を借りれば、私に買わすほどラルフローレンは金に困っていない。
私は夫のために夕飯を作った。それは私の仕事ではなかったけれど、愛情表現のひとつだと思っていたのだ。
創作というのは人間に与えられた大きな喜びである。何かを作り上げるというのは、とても楽しいことだ。
特にそれが仕事ではなく、一銭にもにもならないものこそ、その喜びはおおきい。
書き物がお金になるようになってから、私は一銭にもならない”楽しい趣味の時間”をもてなくなってしまった。
編み物の本というのは、真剣に編もうと思って買うのではなく、編んだら楽しいだろうなという妄想のために買うのだ。
本能のままに一銭にもならないものをつくりたい。そして自己満足でつくったものを
迷惑がられても人にプレゼントしたいと思う。「創作の喜び」の笑顔。
なぜなら、物事を決め付けたいときは心が弱っている時だからだ。こうしなくっちゃ、
と思いつめたときこそ、無理にでも休みを取って南の島にでも旅行をすることをお勧めしたい。
なるほどなあ??と思った作中の文章であります。 叩き付けるような心情の吐露 作者の直木賞受賞までの10年ほどのエッセー集です。
個人的には、論理的で理屈ぽくなる後期のものよりも、作者31歳の時に書かれた「今宵の枕友だち」の章に収められた作品が気に入りました。
それぞれ、本を読んで書かれたもののようですが、個々の本の論評ではなく、そこから触発されて思ったことどもが書き連ねられています。
若さなのでしょうか、そこには後期の作品のような計算されつくしたようなものはなく、思うがままに叩き付けるような心情の吐息があって、強いインパクトを受けました。
最後の章に書かれていますが、「楽しいこと」より「楽なこと」に、心ならずも軸足がややずれたのかも知れません。
作者の作風、心情の変化も読み取れ、全体的にユーモア溢れる楽しいエッセー集でした。
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[ 文庫 ]
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そして私は一人になった (角川文庫)
・山本 文緒
【角川書店】
発売日: 2008-02
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4
等身大のエッセイ 山本文緒さんが離婚された30代前半の1年を日記形式でつづったエッセイ。
思えば私、山本さんのエッセイを読むのはこれが初めてでした。
こんな風に日々の暮らしをきちんと書き留められるだけでもすごいです。
内容もいかにも作家!っていう感じではなく、30代の女性のひとり暮らしってこんな感じだよね?って共感される部分が多かったのではないでしょうか。
引き続き、「再婚生活」も読んでみたいなーと思いました。 心に染入る等身大の日記エッセイ 本書は1996年と2000年春の著者の日記エッセイと2007年晩秋のあとがきで構成されています。離婚後に32歳で初めて独り暮らしをした頃と作家として成長した4年後の日記はやっぱりトーンが違っていて年齢を経ることの成長と悲哀を感じ、あとがきでは著者がうつ病を患って5年間以上もまともな小説を書けなかったことを知り驚きました。
これまで著者のプラナリアや恋愛中毒など10作品を読み、同じ女性作家でも宮部みゆきや桐野夏生、江国香織らより何かが心にしっくり来ると感じてきた理由が、作品から想像される著者がとても自分に等身大に感じられるからだと本作で分かりました。
とても読みやすくて、心に染入ってきます。独りで生きることに不安や辛さを感じる方、うつ病に悩んでいる方は、等身大の著者が目一杯の不安を抱えながら精一杯生きていた姿を感じることで勇気をもらえるのではと想像します。とても貴重な作家の貴重な日記エッセイです。
?著者の言葉?
・周期的に「すこーん」と落ちてしまうのはなぜなんだろう。友人に相談してみたら、みんな同じだよと言っていた。
・私には少し考えすぎてしまうところがあって(だからこそ小説なんか書いているのだろうけど)、人と会うとそれだけで疲れてしまうのだ。
・友達や恋人や親や兄弟姉妹が全く心の拠り所にならない人も世の中には大勢いるし、誰にでも必ず生き甲斐が見つかるとは限らないのだ。
・「死にたいなんて友達に言ったら、サーっと引かれてしまう」と(若い)彼女は泣き笑いで言う。それは若い人だけじゃなく大人もそうなのだ。
・喧嘩になるのはつらい。けれど、喧嘩できない関係というのも、もっと辛い。
・不摂生な生活が生んだストレスに心も身体もぺちゃんこにされたあと、今私はやっと人生の後半をよろよろと歩き始めた気がする。
・何度か読んだ本に人生を変えてもらったし、私自身も本を書いて生計を立てている。
「再婚生活」以前 「野生時代」で連載していた「再婚生活」の前身ともいえる山本文緒・
30代前半の直木賞以前の日記です。離婚して人生初の一人暮らしを始めた
山本さんの日常が丁寧に描かれてます。好きなことを仕事にしている幸せさ、
一人暮らしの自由な気分などを味わいつつも、ふと不安になったり、
飲みすぎて友達に迷惑をかけて自己嫌悪に陥ったり…作家の日記としての
面白さももちろんあるんだけど、それ以上に、
等身大の30代女性の日記としてすごくリアリティを感じました。
ドラマみたいに大事件が起きたり主人公(山本さん)が前向きで
元気出ちゃう!という感じでもないのですが、読んでいるとなんとなく
ホッとするような、肩の力をぬいてもいいような気がするような、
お風呂やベッドにひっぱりこんで読みたい感じ。
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[ 文庫 ]
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ブラック・ティー (角川文庫)
・山本 文緒
【角川書店】
発売日: 1997-12
参考価格: 462 円(税込)
販売価格: 462 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・山本 文緒
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カスタマー平均評価: 4
誰にでもある後ろめたい過去。 軽犯罪をテーマとした10篇の物語。笑って読めるものからずしんと心に響くものまで。「シュガーレスラブ」といい、本書といい、山本文緒のテーマのとらえ方は本当に面白いと思う。
主人公も子供あり、若い女性あり、母ありで飽きずに楽しめる。
自分の心の中にある、ちょっと「悪い」自分に気づかされてはっとする書でもある。
現実のなかのかすかな希望 短編集です。とても、リアルな描写にすこし暗くなります。心理的に。しかし、なぜかラストで筆者が導くプロセスそのものに本物の希望って派手でも、立派でもなく少しずつ噛み締める味わいのあるものなんだと思える。たまに、読み返したくなる本です。 流されゆく刹那 何とか学校を卒業して、どうにか社会に出て、社会人として
歩き出した時、その日常生活の煩雑さに途方に暮れた。
毎日口に入れるもののこしらえ、知らぬ間に降り積もるテーブルの埃、
気まぐれな天気と溜まる洗濯物。目に入る情報の取捨選択をしている
うち、自分の意思がどこにあるかも見失いかける。
人が一人生きるということは、これほどまでに雑務だらけなのかと唖然。
そして、そうしたことを楽しんでしまう腕力の持ち主と、またその逆に
感受性不全のために全く意に介さない人間の種類がいるということにも呆然。
さらに、職場や家族や恋人と呼ばれる存在たちと、ほどほどに
保ってきた関係が重圧になったりする瞬間。
そうやって人は、いつしか流されていく。
そうしたいくつかの刹那を切り取った短編集。
でも、少し元気出ますよ。
自分だけじゃ、ないんだって。 少し悲しい ブラック・ティーがバラの名前とは知りませんでした。この本では、田舎から出てきて東京で一生懸命生きている女性達が描かれていて、やはり、現実は・・・と言う感じがしました。甘くないけど現実にはありそうな話で考えさせられました。 見苦しくも愛しい ちょっとした罪,罪悪感,がテーマの短編集.
罪を犯したつもりも,人を傷つけたつもりも,ましてや自分自身を傷つけようなんてちっとも思っていなかったのに,ふとしたことでそれらが明るみになり,後悔が押し寄せる.
思慮深くなかったがために,その場しのぎを急いだがために……そんな些細な事が,まさか最後にこんなにも自分を痛めつけるなんて.
そんな,誰にでも心当たりのある出来事が淡々と綴られている.
救われるのは登場人物たちそれぞれに,きちんと描かれている「多様性」.
汚いところも綺麗なところも,わけ隔てなくきちんと描かれているのはさすが,山本文緒だと思う.
人は,綺麗なだけでなく,強いだけでなく,また汚いだけでなく,弱いだけでもない.
見苦しくも愛しい人々の物語.おもしろかったです.
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