|
[ 文庫 ]
|
夕闇の川のざくろ (ポプラ文庫)
・江國 香織
【ポプラ社】
発売日: 2008-04
参考価格: 588 円(税込)
販売価格: 588 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 288円〜
|
・江國 香織 ・守屋 恵子
|
カスタマー平均評価: 4
本当の嘘 世間からはずれ、すこし奇妙な女の子を書かせたら、江國さんの右にでるものはいないだろう。
しおんという名の主人公は、唯一の友達のわたしにたいしても、物語を語る。それはうそをつくことと同じなのだ。<<人なんてもともとほんとじゃない>>としおんは繰り返し言うが、それは、本当であってほしいの裏返しだろう。
――「どうして捨てられちゃったの」
――私が聞くとしおんは打てば響くように、
――「醜かったから」
――とこたえました。テーブルには人参と玉葱が、すでにざく切りにされています。
冒頭にでてくるこの一節にそら恐ろしさを感じる。
|
|
[ 単行本 ]
|
左岸
・江國香織
【集英社】
発売日: 2008-10-11
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 815円〜
|
・江國香織
|
カスタマー平均評価: 4
右岸と左岸のテーマ 「右岸」と「左岸」を両方読んで共通していると感じたもの。
「右岸」は別れ、「左岸」は出会いをテーマにしていると思う。
人生において出会いと別れは必ずやってくるし、それは嬉しく
も哀しくもある。そんなことを考えさせられる2冊です。
せつなくて涙がでました。オススメです。 辻との秀作、再び 茉莉の兄の死が幼い茉莉と九の心を影でつなぐ。
家出した茉莉が5年ぶりに戻った故郷での一夜。
子連れ未亡人となってもパリで九と再開する。
でも、九に言わせると茉莉が故郷にかえってくることは「知っていた」こと。
不変なるものと、流れ流されていく人生の宿命ともいうべきものを感じないではいられない一冊。 子猫のように、たくましく 茉莉と言う子猫のように、しなやかに生きる女性の物語。
わがままで、頑固、身勝手極まりない行動。自分の受ける傷には
敏感だが、相手に与えるダメージには極めて鈍感。
やることなすこと中途半端。まるで現代女性のイメージそのもの。
しかし、そんな女性なのに、ご都合主義の話の展開にも、
特別な嫌悪感も抱かせず、長々しい話を最後まで読ませるのはさすが。
江國のマジックに拍手。
女性におすすめ。 右岸を読んだ後に読みましたが、こちらの方が読みやすかったです。
主人公の茉莉は17歳で駆け落ちするなど一見恋愛に奔放な女性のように思えますが、その時々の心情描写が丁寧で共感できる部分も多く、純粋な心を持った女性だという印象が残りました。女性の一生が描かれている作品なので、ある程度年齢を重ねてから読んだほうが面白みを感じられるかもしれません。内容のせいか他の作品よりも江國香織さんらしさが少し薄いような気がしました。 左岸だけ読みました 主人公は働き者で賢い女。
たくさんの恋に流される人生。そして、運命の男。
読むほどに、心の傷から行間に流れる血が濃くなる。
兄の死から30年かけて崩壊した家族の描写が怖いほど冷たい。
|
|
[ 文庫 ]
|
いつか記憶からこぼれおちるとしても (朝日文庫)
・江國 香織
【朝日新聞社】
発売日: 2005-11
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
・江國 香織
|
カスタマー平均評価: 4.5
静かに共感できる作品集 「いわゆる恵まれた家庭環境の子が多い」私立の女子高の、同じクラスに在籍する女の子たちが、一人称で語る連作短編集。
ごく普通に日々を暮らす一人ひとりが、いろんなふうに物事をみながら自分の暮らしを生きている。そのことが、つややかで繊細な文章で描かれています。
他のレビュアーさんのコメントをみるとこの本の読者は女性が多いようですが、私のような年配の男性が読んでも共感できるすばらしい作品です。私は、一人ひとりの生活や考えをたどりながら、ゆっくり1話ずつ読み進めました。
特に印象的なのが「緑の猫」。すこしずつ「おかしく」なっていくエミの切迫した感情も、彼女を気遣う萌子の心の動きも息苦しいほどよく伝わってきます。そして、「高野さんをほんの少し好き」という萌子には「そうですよねえ」と静かに共感します。
秋から冬へと季節が深まっていくその空気感までが印象的にリアルに描かれた作品。ほんの30ページの短いストーリィなのに、梅雨時の朝の電車の中で読み終えても、しばらくは冬の冷たい静けさが心を満たすような作品でした。
また、6つの物語は全体を通じてていねいに構成されています(たとえば、女の子たちのべつべつの暮らしが、いったん、高野さんのサインペンの場面の1点に印象的に収斂し、そのあと再びそれぞれの方向に拡散していくなど)。
「次はどうなるんだろう」というような興味本位のストーリーがあるような小説ではないので、10人が10人とも好むかどうか。だから、むやみにこの本を他人に勧める気にはなれません。むしろ、「この本がわかる人といっしょに話がしたい」という感じでしょうか。 女子高時代 この作品から伝わってくるあの頃の女子高の空気感。女子高独特の空気がとてもよく表現されていて、お気に入りの一冊入り。
ストーリーを追いたい人には不向きかもしれないが、雰囲気や空気感を味わうにはお勧め。特に、都会の女子高に通った30?40代の方へ。 夢のようにながい一瞬 同じ制服を着て、となりで笑いあいながらも、それぞれの帰る場所は違う。内側には誰も覗くことの出来ない一面がある。
ただ明るく楽しそうに過ごしているように見えても、本当は、ちぐはぐな靴を履いて歩くような、
ぐらぐらと揺れる平均台を目を閉じたまま歩くような気持ちを抱えている。
そんな高校生時代の感じが、壊れそうなくらいそのまま書きつけられているところがすごいと思う。
ただの甘くてゆるい話ばかりと思いきや、「櫛とサインペン」や「飴玉」がいいスパイスになっています。
まあ、話の筋を追い、ただそれを楽しむような人には向かないでしょう。 懐かしき 月並みだが、自分が女子高生だった頃を思い出す作品。
江國作品の中でも、「神様のボート」の次に好き。
大きな盛り上がりもなく、ただの女子高生たちの日常なのに
なぜにこう飽きることなく読ませられるのか……
そういえば、あの頃は子供のくせに今よりよっぽど現実的な
思考を持っていた気がする…
オススメです。 そんなころも、あった。 高校生というモノは、オトナとコドモの狭間で、いろいろなきもちが揺れ動く。
恋にしたって、ともだち関係にしたって、なににしたって。徒党を組んでコイバナにきゃっきゃっと華を咲かせるのが可愛いのもこのくらいまでかもしれない。コイバナはどの年齢にとっても大事なモノなのですが、なんていうか、イメージが。
ドキドキする恋愛。これは恋なのだろうか、って悩む恋愛。
わたしたちが『あのころ』じゃないとできなかった感覚が、この本にはつめこまれていると思います。
|
|
[ 文庫 ]
|
きらきらひかる (新潮文庫)
・江國 香織
【新潮社】
発売日: 1994-05
参考価格: 420 円(税込)
販売価格: 420 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
・江國 香織
|
カスタマー平均評価: 4.5
きらきらひかる 笑子、睦、紺クンみんな好きです江國さんの書くキャラはみんなとっても魅力的で大好きなんですけどこの三人は江國作品の中じゃ1番大好き終わりかたもよかったしいい作品やわ おすすめ! 江國さんの本はたくさん読んでいますが、これが一番大好き。
こんなに主人公に共感し、入り込める本は初めてでした。
ノンストップで一気に読みました。
笑子のように生きたい。
自分に正直に、そして強く人を愛したい。
心からそう思いました。
読み終わったあとは、大きなやさしさに守られているような、
そんな不思議な感覚に包まれました。
江國さんファンなら、これは絶対おすすめです☆ 散歩をしたあとような読後感 読後感は散歩した気持ちに似ているな、と思った。
筆者は、安定と不安定という生活の中によくある揺らぎを掬い上げていて、外見からは何の変哲も無いような生活の中にこそ、心から大切にして愛しみたい空間が存在することを描いているのだろう。物語そのものは著者にとっては方便に過ぎないのかも知れない。
実際、物語はほとんど進展しておらず、登場人物の言を借りれば「ごっこみたいに楽しくて、気ままで都合のいい結婚」は「お互いの愛情だけで成り立っている生活」のままであるし、皆の抱えた諸処の問題はやはり何も解決されずに横たわったままストーリーは終わるのだ。
物語の鍵となる存在として睦月の恋人紺がいて、彼は停滞する日常をかき乱しすいわゆるトリックスターであるが、従来のトリックスターが物語を新たな局面へと導くことが主であったことに対し、彼は主人公たちを取り巻く生活空間を保つことに奔走する。そこにこの小説の面白さがあるとも言える。
そのような、流れつつ停滞しているようなイメージは、7文字のひらがなで構成された「きらきらひかる」という字面からも見て取れるし、笑子と睦月の視点を交互に入れ替えることも効果を挙げている。
大きなイベントを期待することなく、なんとなく心地いい時間をすごして、願わくば同じ場所にとどまりたいという気持ち。どこか、散歩をしているときと似ている。
それも、人込みの中の雑踏や人気の無い路地裏、あるいはうっそうとした森の中やのどかな田園などではなく、適当な間隔でベンチや植樹が上手く設えられ、ここぞというタイミングでオープンテラスのカフェが出現してくれるような、心地よく設計された遊歩道を散歩している、そんな感じ。
だから、登場人物がストーリーに都合のいい作り物であることは計算されたことで、そのことが作品の雰囲気をむしろ良いように強調している、と私は好意的に捉えることにした。
ただそれにしても、睦月は女性が夢見がちな男性同性愛者の定型ではないかと思う。「セックスがそれほど好きじゃない」私にとって都合の良い、白馬に乗った王子様に見えてならないのが少し残念ではある。 不可思議な人間たちの組み合わせが上手い 文中に出てくる食べ物が実にうまく文章に溶け込んでいることに感心した。
ホモの夫とアル中の妻のお話は もちろん、危うい感じで物語りは続く
そして痛々しい感じで物語りは続くのである
ホモの睦月とアル中笑子をとりまく友人達は
どこまでも純粋
とても透明感を感じる1冊である
|
|
[ 文庫 ]
|
赤い長靴 (文春文庫)
・江國 香織
【文藝春秋】
発売日: 2008-03-07
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
・江國 香織
|
カスタマー平均評価: 4
何故かぐいぐいと読んでしまう 結婚生活10年くらいすると普通、子供がいれば忙しくてチラっとかすめる夫婦間の
歪みも深く考えている暇はない。前に前に進まなければいけない日常があるから。
ここに出てくる夫婦は子供がいない?でも、そのことをお互いに不幸だと言っている場面は
ない。お互いのことばかり見つめてると息が詰まると思うけれど、結局外で色々やってみても
やっぱり家がいいなぁって感じのエピソードがあり・・・結局どっちなんだ?ってハラハラしたり・・・ひんやりした空気が漂ってみたり・・・男女って好きで結婚したはずなのに期待していたようにならないことに腹を立てる。いっそ期待しなければ楽なのにソレは難しいことなのだ。だから本当に思っていることは言わないほうがいいな?と思った。小説でも本当のことは言ってないし。とにかく完璧なんてないんだと思っていれば・・・許せないことがあれば
言うべきだけど言ったところで変わるのか?ということはある。
一番近くて遠い存在なのかもな? きっとこうなるのだろうなあ、と思った。 妻と夫。
2つの生き物の間にある深い河と、互いに特別になった相手への安心感をたくみに表現した短編集。
夫はまだいませんが、
おそらく、こういう気持ちになるのだろうなと思う。
分かり合えていて、分かり合えていなくて、
いてほしいけど、いてほしくない。
普通の夫婦ってこんな感じなのかも(間に子供がいると違うかもしれない)。 我が家と照らし合わせ 14の短編の連作でそれぞれちょっと空いた時間に読むにはちょうどいい長さ。
なのですが、、つぎつぎ読み進めてしまいたくなる本です。
この作品の背景と同じような「年代」、「子供いない」、「共働き」の私には主人公夫婦に対して他人とは思えない感情移入がしたのでしょう。
(いつも生返事の「夫」は私に近いものがあるかも)
妻の日常の心情や、妻から夫への不満、夫への愛情の疑問がメインで書かれていており、短編のいくつかは夫が主人公となる話もとりまぜてある。
最終の2話は同じ一日の出来事をお互いがそれぞれ主人公となる話でしめくくられており、夫婦ってこんな感じでお互いを思いあって毎日暮らしているものなんだろうねと改めて考えさせられた。
「うまくいっている夫婦って案外こんなもんかもよ」と、
ちょっと我が家の妻にも読ませてみようかな? ある意味「結婚生活」とはこういうことかも 答えの出ない、答えをあえて出さないことが
「美徳」のような部分に触れた1冊。
だからこそ、既婚者にはピタッとくるはず。
そのテーマに触れておきながら、主人公とと
もに悩ませておきながら、答えは出さない…
いや、答えは出せないのかもしれないし、
答えを出す必要のないことなのかもしれない。
他人事であれば、そんなバカげたことをと、
思うかもしれない。でも、知らぬ間に答えに
触れられなくなった夫婦はごまんといるだろう。
だからこそ、この物語の先に、もう少し年を
重ねた主人公の夫婦がいて、現実的には女性が
何かにふっと気がつくのが普通で…「熟年離婚」
へ結びついていくのだと思う。
そんな回答のない、はがゆい物語…江國さんの
世界である。 江國ワールド 筆者の実年齢と共に、女主人公の年齢が上がっていく傾向をまた見せられた。女主人公は筆者自身や筆者の周りの女性たちの投影なのか?
女主人公は40代初めかと思われる結婚10年目の専業主婦。子どもはいない。週に数度のパート。ある意味、「記号的」な人物。彼女が夫に対して感じる、「漠然とした不満」「漠然とした安心感」を日常的な出来事を通して描き出していく。
同年代の主婦なら、そしてそんな女性を身近に感じる人なら、「あるある」と言いたくなるだろう。ぼやっとした雰囲気の中の奇妙なリアリティが魅力の作品である。
|
|
[ 文庫 ]
|
スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)
・江國 香織
【幻冬舎】
発売日: 2006-08
参考価格: 520 円(税込)
販売価格: 520 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
・江國 香織
|
カスタマー平均評価: 3
すっきりしない 個人的な好き嫌いがはっきりわかれそうな作品。
夫婦がお互いの生活を大事にしつつも
本能と理性をわけて生活しているかんじ。
そりゃみんなこうやって生活できれば万々歳かもね?
でも不倫してもくったくない(あくびれてない)人々ばかりで、
ちょっとイライラする。
そして結末も、読んだ人にゆだねられてるので、
すっきりせず、買わなきゃよかった、とすら思ってしまった。 大人の人間関係? 生活していくということを、ある面でうまく描写した小説だろう。人は迷うし、折り合いをつけなければいけない。自分が大事にしたいもの、大事にせざるを得ないものを、その時その時で選び取っていく過程において、本作の彼らのような生き方を選ぶ人は多いだろう。諦めにも似た現実味溢れる本作の読後感は、決して良いとはいえなかった。生きることの疲れが中途半端に透けて見える文と、初期の作品に見える透明性は区別したいところだ。とはいえ、そういったテーマに関する個人的趣向を抜きに判断すれば、無難にまとまった作品だ。可もなし不可もなし。退屈もなければ感動もない。 江國 香織ワールド 情景描写が繊細でそれでいて美しい。江國ワールド炸裂の本だった。夫と妻それぞれがそれぞれの秘密を持ち、そしてお互いに必要とし合っている。日々嘘を重ねながら…。人は、守るべき物があるとき嘘をつく。
そういえば私も今日、嘘をついた…。大切なものを守るために。
大切な人がいる全ての人に読んでもらいたい本だ。
|
|
[ 文庫 ]
|
すきまのおともだちたち (集英社文庫)
・江國 香織
【集英社】
発売日: 2008-05-20
参考価格: 580 円(税込)
販売価格: 580 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 9円〜
|
・江國 香織 ・こみね ゆら
|
カスタマー平均評価: 5
時間のすきまに存在する世界 主人公の新聞記者の女性は、旅先で突然、現実とは別の世界に来てしまう。
それは「すきま」の世界だった。
そこには、9才の女の子と、話ができて車の運転もできるお皿がいた。
主人公は、なぜかその場所に懐かしさを感じて、女の子とすっかり仲良くなる。
女の子は、両親がいなくて、一人でてきぱきと家事をこなし、主人公に対してちょっと生意気だ。
でもある日、また突然、主人公はもとの現実の世界に戻ってくるのである。
それも、すきまの世界へ行ったその時の時間に遡って。
私は、主人公が、絵葉書を恋人宛に、その不思議な町の郵便局から出し、それが現実の世界に戻ってきた時に、ちゃんと不思議な消印が押されて届いていたという場面が好きだ。
不思議な世界は、夢ではなく確かに存在していたという事実を証明しているからだ。
その後も、何年かごとに、主人公はすきまの世界に来る。
当然、主人公は年を取っているのだが、女の子は9才のままで、「あなたは来るたびに変わっている」と言われるのである。
頻繁に入っている1ページの絵が、とてもきれいで可愛らしく、この本を素敵にしている。
全部で170ページほどなので、1日もあれば十分に読めてしまう。
読んだ後は、とてもさわやかな気持ちになる本だ。
永遠に変わらないでいられること 語り手は大人の女性「私」
新聞記者で恋人もいる。
あるとき「私」は、
なんのひょうしか「すきま」から落ちて別の世界にやってくる。
そこで出会ったのが、
9歳か10歳くらいの「女の子」
「女の子」は、「初めから両親がいない」
運転もできてプライドが高い「お皿」と住んでいる。
レモンの木を育て、
レモネードを作り、
野球場で売っている。
大人と小さな女の子が同居したような。
しっかり、つつましく生きているのに、とても繊細でかわいらしい。
そして、
人生に対してとても勇敢だ。
この本はファンタジーのようでいて、
ある意味とてもリアルな感覚が漂っている。
「すきま」の世界に入る時は唐突にやってくる。
現実に帰るのも同じ。
「私」と「女の子」はお互いに大切な友達なのに、
自由に会えない。
そして、「私」はどんどん年をとっていくのに、
「女の子」はいつまでも変わらない。
「女の子」は言う。
過去の思い出って淋しいのね。
それに悲しい。
じれったくもあるし、絶望的でもある
合間に散りばめられた
“こみねゆら”さんのカラーのイラストが、
よく合っている。
いつでも手にとれるように、
そばに置いておきたくなる、
素敵な本だ。
大切で懐かしいお友達 お話は、ファンタジーなのですが、不思議と言うよりは、
懐かしいような気持ちになるお話しでした。
おんなのこはおんなのこだし、お皿は、お皿。
名前なんて無くただ、そういうものとして生活している…そんな場所。
いろいろな素敵な言葉がある中で、お皿が言った、
『私たちを本当に縛るのは、苦痛や、災難や戸棚ではないのよ。
幸福な思い出なの』
の言葉が心に響きました。
今いる場所から動けない自分。
言い訳しながら過去を振り返ってばかりの自分。
そんな私の背中を押してくれているように感じました。
すきまのおともだち…私にもきっと居る!そんな気がします。
|
|
[ 文庫 ]
|
つめたいよるに (新潮文庫)
・江國 香織
【新潮社】
発売日: 1996-05
参考価格: 420 円(税込)
販売価格: 420 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
・江國 香織
|
カスタマー平均評価: 4.5
ふしぎな味わい、幻想的な物語がたっぷり、傑作短編集 ふしぎな味わい、幻想的な作品が多い短編集。
死がテーマの作品も多いです。
個人的には祖母をなくしたばかりなので、養老院のおばあさんと少年の交流を描いた「鬼ばばあ」にせつなくなりました。
そのほかでは、皆さん大好きな「デューク」はもちろん
小さな童話大賞の「草の丞の話」
デビュー作の「桃子」など
夏目漱石「夢十夜」にも匹敵する面白さでした。
大好きな1冊 この中に収録されている
デュークが本当に好きだ。
初めて読んだときからもう何年もたって
いるが、読み返す度に目頭が熱くなる。
江國さんファンだが、江國さんの作品の中で
1番に好きな小説です。
この中に収録されている作品の中には
ワタシの好みではない話も正直あるが
デュークが入っているから☆5つ。 珠玉混淆の短編集 「デューク」はすごくいい。思わず目頭が熱くなる。
他の話は正直記憶に残らない。 子供が主人公の作品もおもしろい 恋愛小説で有名だけど、「鬼ばばあ」とか「夜の子どもたち」とか
子供が主人公の作品もおもしろい
「桃子」は結構怖かったです。女って悪魔?
ちなみに「デューク」は高校だか大学だかの入試で全文掲載され
試験中に泣いてしまう生徒が続出したのだとか。
犬を飼った事のない私にはまぁまぁでしたが。 たくさんの奇想天外と人間模様 前半に「つめたいよるに」として9編、後半に「温かなお皿」として12編が、単純計算して1編あたり約10ページで収められている。そのどれもが読みやすく、読者は知らず知らずのうちに物語の世界に曳きこまれてゆく。
たくさんの奇想天外な世界と、人間の営みが織り成すさまざまな模様が、まさに「凝縮」されている感じ。前半は「夜」を題材としているだけあって、夢か現実か区別がつかないような不思議な世界が広がっている。後半は「お皿」ということで、料理や食事を通して、陰と陽、さまざまな人間模様にスポットがあてられている。
|
|
[ 文庫 ]
|
思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)
・江國 香織
【光文社】
発売日: 2007-06
参考価格: 680 円(税込)
販売価格: 680 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
・江國 香織
|
カスタマー平均評価: 4
土日で読めました 犬山家3姉妹のそれぞれの物語をパラレルに3様ならべて記していく物語。
タイトルの「思いわずらうことなく・・」は犬山家の家訓で、その発案の父親は浮気が原因で離婚で別居(離婚なんだから別居はあたりまえか)している。
説得力があるのかないのかちょっと苦笑いをしてしまった。
3姉妹はそれぞれ性格や考え方も違い、悩みも抱えてはいるが、自由な生き方をして楽しんでいるように私には読めた。長女の夫とのDV被害の場面ではほんとうにこんなふうに恐怖の日常を送っている人がいるのだろうかと心が寒くなる。(長女は後半やっと殻を破った感はあるが)
長編ですが、話の展開もテンポよく次の展開を期待させるため時間を忘れて読めました。
別の江國さんの作品の「間宮兄弟」を読んでも感じるのだが、兄弟(姉妹)が仲がいい、うらやましくなるほどに。 読後、しばらく頭か離れない 三姉妹。同じ両親から生を受けたのに全く違う個性。
この三姉妹のそれぞれの性格描写が、相変わらずお見事、と、言いたくなるほど旨い。まるで、三人それぞれの声まで聞こえてきそうだ。
今回は、他作品よりストーリーがあるし、重いテーマにチャレンジしている点からも、筆者の代表作と言っていいデキだと思う。
女はやっぱり強いもの 三姉妹のお話。
長女はキャリアウーマンながら男を愛すけれども強くて自分のものから去っていたのもは、いくら愛していたとしても2度と自分のもとへ戻そうとはしない。後悔という言葉が嫌いだから後悔はしない。
次女は主婦だか夫からDVをうけている。
どんどん、夫からのDVを黙ってうけているだけではなく自分の意思を持って感情を出していく。
三女は、恋愛にはきままで型にとらわれることなく誰とでも関係をもつ。そのことを悪いとも思わないし、彼女の感受性も豊か。
この本を読んで、姉妹や家族の大切さ。そして人は結局一人で、でもその中でどうやって強く生きていくか。
何度も読みたいと思った本。
どのタイプも分かるような こういうものを読むと不安定になる。
達観できない位置にいることを思い知る。 こわいくらいにリアル 江國さんの本の中ではいちばん感動しました。
軽い気持ちで読み始めたら、ちょっと驚くくらいにリアルでした。小説にもかかわらずリアルというより、小説だからこそリアルという感じです。
夫婦間の家庭内暴力のモチーフが出てきます。この問題については、ノンフィクションで読んでも全くピンと来なかったのに、この小説を読んで初めて「こういう事だったのか」と納得が行きました。フィクションというのは不思議だと思います。
男性にも、普段小説を読まない人にも勧めたい一冊です。時間の無駄にはならないと思います。
|
|
[ 文庫 ]
|
冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)
・江國 香織
【角川書店】
発売日: 2001-09
参考価格: 480 円(税込)
販売価格: 480 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
・江國 香織
|
カスタマー平均評価: 3.5
運命を感じれるお話。 優雅な生活の中にもどこか満たされない部分を持って生活していたアオイ。その思いが、元彼からの1通の手紙で大きくなる。もう会えなくなったカレと約束した場所で会える事を期待して・・・。
人を傷つけまいとした行動が逆に相手を深く傷つけてしまい、2人の間に壁を作ってしまう主人公に惹かれました。こんな主人公の女性と巡り会えたら一瞬で恋に落ちると思います。心のどこかに闇を持っているって魅力的です。 冷静と情熱のあいだ 昔から好きな本です☆読んでて切なくなります(/_;)女性目線で書かれてるので、女性は共感できる部分が多いと思います★ ダラダラしている…、と私も思ったな 他の人のレビューに、ダラダラしているっていうのがあったけど、同感。途中で挫折することって少ないんだけど、これはダメだったなあ。三分の一くらいまで読んで、あまりの展開の遅さにイラっとして放り投げてしまいました。 情熱の赤 冷静と情熱のあいだ。
辻仁成さんと江國香織さんの別れてしまった男女の10年の物語をそれぞれの視点で描いた
同名タイトルの同時執筆作品。
私は江國さんの作品から読みました。
あおいという女性像は、深い湖のような静かさと青白い炎の両面を合わせ持っているような、
江國さんらしいキャラクター設定だと思いました。
あおいには海外で暮らしていたこともある江國さん自身も混ざっているような気がします。
同時執筆という実験的作品がどうなるのか興味津々で読みました。
実際の恋愛も別々の人間が出会うところから始まるわけで、実際の恋愛に近しい形で執筆がなされたのだと思います。
現実も二人で一つの人生を生きていても、そこに二つの物語が生まれるのだと妙に納得しました。
実験は成功だったと思います。 江國香織と辻仁成の実験作。軍配はやはり江國香織。 江國香織と辻仁成がともに、主人公の「あおい」と「順正」の立場で書き上げた恋愛小説。二人の異なる作家が、一つのストーリーを同時進行系で書いてゆくという、非常に危うく実験的な作品ですが、男の視点、女の視点がとてもはっきりしていて、面白かったです。私は先に青、次に赤をよみましたが、やはり江國香織という天才的な作家の、心の描写のまえに、辻作品はストーリーテラーになってしまったという印象でした。けっして、江國さんのベストとはいえないと思いますが、なかなかこのようなかわった作品に接することはないので、一読されることをお勧めします。ただ、映画は駄作ですので、見ない方がいいです。大根役者二人のせいでムードぶちこわしですから。
|
|