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[ 文庫 ]
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文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫)
・京極 夏彦
【講談社】
発売日: 2009-06-12
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,000円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 3.5
面白いけど 哀しい レギュラーキャラの新たな一面が見られます。特に榎さんと関口さん。 これはこれでありだと思います。 ただ、読後に物凄く哀しくなってしまいました。これまでの京極堂シリーズにはなかった寂しさが…なのでマイナス1で。 読み終えてすぐに寝たら、夢に出てきてうなされました。気持ちの整理をつけてから再読したいです。 関口くんがよく喋る 大磯で発見された毒殺死体を巡る今回のお話ですが、被害者の常にない扱いに疑問を抱き独自に捜査をはじめる青木。 榎木津のいとこに、被害者と榎木津の調査を依頼された益田。 いつものごとく犯人(仮)の独特の視点。 の3つが交錯しながら話は進んで行きます。 今回のおすすめ所は、『まともに喋る関口くん』です! 吃りもせず、なが台詞が喋れるとは思いませんでした。 『親は生まれた時から載ってる荷物だが、家内は自分で選んだ荷物だし、同時に僕は相手に選ばれた荷物だ。放したくないし放されたくない。放さないのも放されるのも、一層に辛い。ーーーーー。』
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[ 単行本 ]
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厭な小説
・京極 夏彦
【祥伝社】
発売日: 2009-05-14
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 1,349円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 4.5
好きな小説 京極作品を読むのは久しぶり。時代は間違いなく現代なのだが、文体のせいでちょっと昔の話のように思える。それも含めて京極ワールド全開。あったら厭だなと思える話が全部で7編。どれも不条理な話で、解決も説明もない。ただ、厭なことが繰り返される。「厭な先祖」とか「厭な彼女」なんかは、本当に厭です。そして、最後の一編。これを読むと、なぜこの本の装丁が汚らしいのかがわかります。私は好きです、この厭な小説。 外装から奥付迄凝りに凝った造本 内容も手触りも全てが厭な短編集
■汚れて破れやシワのある退色したカバーをはずすと、やはり経年劣化+手垢+煤の汚れが目立つキタナイ表紙。見返しも扉も本文も奥付も広告も全て薄汚い。が、これらはそのように印刷された造本なのだ。本書は読者が厭な気持ちになることをめざして書かれた連作小説なので書物自体が厭な構造になっているのだ■第1話「厭な子供」は、飲み屋で同僚の深谷(ふかたに)が厭な部長のことで散々ぼやき、それをなだめて帰宅した主人公の周囲に、異形の子どもが出没。夫婦が狂気の世界に落ちてゆく話■第2話「厭な老人」は同居老人の不快さと嫌がらせに怒りが炸裂し、とうとう殺してしまう主婦が主人公だ。主婦は警察の取調べで、その老人の身元素性を問われ、初めて肉親でないことに気づく■厚かましい後輩から仏壇を無理やり預けられ、その仏壇の中に無数のご先祖様(小さくてぷよぷよしている)が詰まっていたという「厭な先祖」■紹介文を書いていても背筋が凍り、厭な気分が甦る7つの短編。読み進むうちに判明するのだが、本書の短篇の主人公達は、皆厭な目にあって自殺したり発狂したり、原因不明の死を遂げていた……■最終章では、随所に登場する深谷が古本屋で本書『厭な小説』を購入。読み進む内自分と周囲の人々が描かれていることに戦慄して破滅してゆくのである。ああ厭だ。が、しかし、とても面白かった。
評価はあてにしないでください ぶっちゃけ評価に何点付ければいいのか、さっぱりわかりません。
面白いのは面白いんだけど。
帯見た時はギャグかと思ったんだけどなぁ。
『厭な老人』は本当に厭です。
『厭な扉』が個人的に好き。
絶対最後の話の主人公は、深谷さんだと思った!
京極版『世にも奇妙な物語』って感じかなぁ。
でも、いきなり他の作品すっとばしてこれ読む人いないだろうから、京極ファンには満足出来る本ではないかと。 世の中きれい事ばかりで出来上がってるんじゃない 本当に厭なストーリー7編の短編集。梅雨時に相応しい?気の滅入る様な話が続きます。
各編様式を整え読むに従い反復感を感じさせる、そして各話のリレーションが見えてくる手法は巷説シリーズでおなじみの手法。不快な話をすいすいと読み進めさせられます(泣)。
'70年代ぐらいの筒井康隆の短編を京極風に再現したのかな?という雰囲気。TV/映画『Rookies』の露出に辟易してしまうセンスの持ち主の方には是非(笑)。世の中きれい事ばかりで出来上がってるんじゃない。
あと、装丁も立派ではないですが、凝っています。意外と小技も効いてたり(^_^)。 そこまで言うほどの嫌悪感は感じず。怪奇心理小説としてお薦め。 ズルい。そのタイトル名、著者自身による帯の一言、そして、いきなり書き出しから「厭だ」(笑)。ここまで確信的にやられてしまうと、反って読んでみたろか、と思ってしまう。
厭な本と言うが、これは主人公たちが体感、遭遇する厭な思い、生理的衝動、心理、感情、狂気、恐怖、あるいは、妄想と偏執が、全編ひたひたと横溢するような印象の本。確かに、グロくてエグい箇所も多々あるが、それほど不愉快な思いに陥る事はない。少なくとも、自分は面白く読んだ。
短編集な為、個々のパートが嫌悪に感じる以前に次のエピソードに転じられるし、著者お馴染みの独自のセンテンスの取り方で、厭な描写をもリズミカルに読み込んでいけるので、不思議と不快感を感じない。著者のファンはもちろん、筒井康隆や本谷有希子らの読者であればかなり楽しめるし、後味の悪さから言えば、それこそ今年の本屋大賞受賞作の方が、その称号には相応しい。
500ページ弱、かなりのヴォリューム感だが、行間は広いし、紙質の関係で、本自体、見た目よりかなり軽量なので、持ち運びする分にはラク。そして、今まで読んだどの京極本より読み易い。
奇妙な味わいの怪奇心理小説のアンソロジーとしてお薦め。
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[ 文庫 ]
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文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)
・京極 夏彦
【講談社】
発売日: 1998-09
参考価格: 840 円(税込)
販売価格: 840 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 4
読み物としては面白い。ミステリとしてはどうだろうか。 簡潔なレビューにします。
レビュアーについて:
-大学生
-文学好き
-本格ミステリ好き
-ミステリに関しては多くの作品を読んでいます。
本作を読むにあたって気になるかもしれない点:
-読みづらい文章か?→確かに多少一般的ではない言葉などでてきますが、全体としては非常に読みやすいと思われます。中学生辺りからなら全く問題はないと言えます。
-長くて疲れないか?→京極氏の作品は長いので有名ですが、基本的には内容がとても魅力的なのでがんがん読んでいけると思います。
-怖い・グロテスク?→そういう描写は多少ありますがそれほどではありません。ホラーやグロ小説ではないのでご安心ください。
良い点:
-題材が面白い。京極氏らしい和風で妖怪ちっくな(?)素敵な世界観があります。
-キャラクターが魅力的。漫画やアニメのキャラクターのように、とても個性的な登場人物が多いです。だからと言って非常に非現実的になるわけでもなく、読んでいてそれぞれの特徴が浮き上がって来るので非常に面白いです。
-小ネタ・うんちくが面白い。へぇ、とかほぅ、とうならせてくれる登場人物同士の会話が多いです。なるほどそれは考えたことはなかったなぁと思うような個所も多々あります。こういった小ネタも物語を暗示していたりするので後々気づいてにやりとします。
-すっきりしている。これはトリックなどとは別に、物語として完結しているという意味です。次の作品に続いている、ということはありません。安心してこの一冊だけを購入しても問題ありません。
残念だった点:
-ミステリーらしさがあまりない。確かに物語冒頭あたりから「謎」は出てくるし、それを解くのが本作品の趣旨です。しかし、いわゆる典型的なミステリのように証拠品探しはありません。聞き込み捜査的なものはありますが、これも微妙といったところ。しいて言うならば、「読者参加型・挑戦型」のミステリーではないですね。
-超常現象的なところがある。リアル志向な方にはちょっとこの点は気になってしまうかもしれません。とはいえそこまで物語に影響を与えるわけではないのですが、本格的なミステリ志向の私にとっては「うーん、それってアリかなぁ?」と思ってしまいました。
総括:
-読み物としては非常に面白い。楽しく読めますし、がんがんページが進みます。
-本格的なミステリーではないです。トリックは「なるほど」と思えれば、同時に「それってアリかなぁ」とやはり思ってしまうものでもあります。 一気に読ませるパワフルな小説です。 600ページを越える厚さで、読み手を威嚇しているように見えるかもしれません。
あまりの厚さ、重量感から、この本そのものが殺人事件の凶器になりそうで怖いです(?)
最初の100ページは、人間の意識の話です。
ここはある程度この分野の評論などを読みなれていないと難しいと思われます。
ただ、これは必要な枕なのです!この部分なくしては、謎解き部分の面白さが半減します。
ちなみに私は、ここを読んだ時に、自分の外界認識がぐらつかされ、
女の顔が隙間から覗いているのではないかという妄想に取り付かれ、少し怖かったです。
謎解きの部分は、20ヶ月妊娠している女、その姉、両親、同居人の
過去、生い立ちほとんどすべてが解明されます。そこで読み手は憤り、
また、極限の悲しさを体験することになるかと思います。
語られてきた要素が解決に向けつながっていくのを読む快感を得ることもできます。
特にこの部分は面白くて、飽きっぽい私ですが、夢中で読みました。話は悲しいのですが。
謎解き役の京極堂こと中禅寺秋彦は皮肉屋です。
しかし、彼の頭に入っている知識量、それをつなぎ合わせる的確かつ柔軟な思考力は
驚嘆に値しますし、読み進めるうちに、
皮肉屋の仮面をかぶっているだけで、とても優しいやつなんだと分かります。
1作目は特に、京極堂の魅力が炸裂しています。面白いです。 読者に対する憑物落とし? 分厚い本の多い人だな、という印象しかなかったこの作者の小説を、初めて読みました。まんまとアニメ(「魍魎の匣」)から入りました・・・。
この本も分厚いです。でも一気に読めました。冒頭で長々と続く認識論?からして、「へえー」と感心してしまいます。
日常と非日常、普通の人と「憑物筋」の人は、まったく別個にあるのではなくひとつのものの違った面にすぎない。だから「この世に不思議なことなど何もない」。
一見異常に見えるものも、単にそれ自身の論理に従っているだけで、存在する場所はみんな同じ「この世」・・・その主張は真摯なものだし、共感できました。まっとうです。
でも! だからこそ、事件のこの顛末はなんだかちょっと・・・。
トリックにあたるもの自体は当然の流れによるものです。でもそれがシステマチックというか。そういうことかと理解はできるだけに、重みを失ってしまうというか。
結局やっぱりこっち(探偵側と読者)の理屈で謎解き?と思ってしまうほどに、解説がわかりやすく、てぎわよく進む、ということなのか。
そもそも、「この世に不思議なことなどない」に限っていえば、謎が解かれることはこの話に本当にふさわしいのか? 陰陽師探偵・京極堂は、一貫して非日常的なものにフェアな態度を取りますが、認識を変えることによって不思議だったものが不思議じゃなくなる=憑物落とし・・・というのは、その不思議だったもの本人にとって救いになるの?
そのあたりに思うところがあるからこそ、京極堂自身も謎解きに乗り出すのを渋るのだろう・・・ということは読み取れるようになっていますが。
いかに事件を解決するかが肝心のミステリであるにもかかわらず、そんなことを考えさせられてしまいました。もしかすると、読んでいるうちに事件の関係者たちに同情してしまうせいかも。
そういう意味では、無意識に持っている差別的な感情を読者に気づかせてくれる、啓蒙的な価値もある一冊です。読者も憑物落としされるといえるかもしれません。なんかちょっとすっきりしないものが残るにしても・・・。 六百ページ…… 内容に深さもあり、謎解きも「なるほどね」と言わされる。序盤の認識論についての議論は、読書慣れしていないと辛いかもしれない。 難しいからと言って逃げずに中盤まで読むことが出来れば、最後までは一直線の流れにのって楽しむことが出来る。 読み切るのに、だいたい6?8時間は必要かなと思います。 横溝正史風ウンチク満載のミステリ小説 京極夏彦というと「妖怪」とか「おどろおどろしい」というイメージがあり、さけていましたが、あにはからんや「妖怪」はあくまで象徴的な存在であり、京極堂はあくまで、論理的に事件にいどみます。時代が昭和中期、戦後間もない時期ということ、また内容が結構陰惨なことから、横溝正史を連想させますが、妖怪のなりたちや歴史、史実など膨大な知識をベースに事件に挑むミステリ小説です。文系、森博嗣というかんじでしょうか。その厚さ故、レンガ本などと称されますが、ウンチク部分が多い分さほど苦もなく読めます。姑獲鳥の夏は、20ヶ月出産しない女性とその夫の失踪をあつかった事件ですが、事件のトリックは割とかんたんにわかります.とにかく京極堂のウンチクおよび人間そのもののおぞましさを楽しむ小説です。
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[ 新書 ]
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前巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)
・京極 夏彦
【中央公論新社】
発売日: 2009-04
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 871円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 0
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[ 新書 ]
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邪魅の雫 (講談社ノベルス)
・京極 夏彦
【講談社】
発売日: 2006-09-27
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 400円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 4
正統派ミステリ小説。連鎖殺人事件 毒殺を主軸とした、連続殺人事件。なんと探偵のお見合いがらみです。次々におこる殺人事件に翻弄されますが、こん回の京極堂は付き物落としというより、まさに種明かしの探偵役でしょう。人それぞれによって、事件のあり方が全く異なる。それによって連鎖的に殺人事件がおこる。それも他人のためという、自己満足のために。人は結局、自分とそれ以外しかなく、他人のためという大義名分の自分のための殺人などだというのは、まさにそのとおりでしょう。馬鹿な人間と凶器がなければおこらなかった犯罪。正統派ミステリとして楽しめる作品でした。 榎さん。 大磯、平塚を中心に起こる毒殺事件。連続なのか、個別なのか。推理小説?ミステリー?起こる出来事を整理しても混乱をきたすこと必至。
前作「陰摩羅鬼の瑕 」と違い、今回はたくさんの人の目線で語られます。脇役だった青木、益田両名が活躍。そして、なぜかついてくる関君。ここでも、新たなキャラクターが登場します。
ウブメから読んでいるので、過去作品登場人物が多少の変化を見せて再登場するシーンは読んでいて楽しいです。
読み終わって、しばらく切なさが続きます。次回作も期待。 このシリーズが読めるだけで幸せ 大磯、平塚でおこった連続毒殺事件。
様々な人物の視点から描かれる、入り組んだ物語は「あの男」によって収束される。
毎度のことながら、京極氏の豪腕によって何度もうなってしまった。
今回は、主要なキャラクターたちがわんさか登場。
新キャラたちも味わい深いの人物ばかり。
探偵・榎木津が絡んだ事件なのだが、榎木津の出番は少なめ。
でも、人間味のある榎木津をちょっと垣間見ることができたので嬉しい。 コンセプトは大好きですが、 話の舞台が広すぎで、好みじゃないです。
私はこじんまりとまとまっている姑獲鳥の夏とか鉄鼠の檻
みたいなほうが好きです。
益田や青木がメインだけど、個人的には、やっぱり、中禅寺や榎木津
の登場場面がもっとほしかったです。
最後のページ、榎木津のことばには鳥肌が立ちました。最後のページだけ
何度も読み返してしまいました。
切なくて哀しい…。 榎木津が大暴れ!京極堂がびしっと祓う!関口君がうぅあぁと唸る!と、毎回同じパターンを望んでいる人には向かないかな。私は同じパターンの話を何話も読むのは嫌いなので痛快な話もあれば哀切な話もある、って方が好き。毎回同じじゃつまらないしね。今回の話は、とにかく辛い。読んでる側も心が痛い。前作もかなり切なかったけどちょっと切なさや哀しさの種類が違うかな…。ラストでは思わず涙が零れた。もしかすると男性にはわかり辛いのかもしれない。これは女性が読むと、相当辛くて鬱になりそう。でも、とても面白い。
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[ 文庫 ]
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魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫)
・京極 夏彦
【講談社】
発売日: 1999-09
参考価格: 1,090 円(税込)
販売価格: 1,090 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 76円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 4.5
すごい!! すごいの一言です。
深いですね、本当に!!
長いのに、読むのが苦痛になりません。「はこ」の中みたいなあ…。 バラバラ殺人、美少女殺人未遂事件、少女誘拐事件が絡まりあって
解きほぐすのは不可能と思われる謎を形成しています。
キーワードは本書のタイトルにもなっている「魍魎」と「はこ」です。
1点目。拡散していくように思える真相を、謎解きパートでしっかり明かしてくれる場面。
前作「姑獲鳥の夏」でもそうでしたが、ここは心地よい。(ただし話は悲しい。)
それまでは京極堂以外の登場人物と同化して、読者もいまいち真相にたどり着けず
いらいらしながら読むことになります。
しかし、この「いらだち」は決して不快なものではありません。
脳みそをフル回転させる心地よい疲労感です。
そうして、真相の6割くらいまでは頑張れば到達できるのです。
しかし、そのさらに奥深くにあることを京極堂に見事に指摘されて悔しくもあり、
すっきりもしました。この快感、開放感は素晴らしい。
2点目。ネタバレなしで、話の内容について感想を書きますと、
人は「何か」にとらわれるととてつもない行動を平気でしてしまうのかなあと思いました。
人をとらえるものは、愛情だったり、妄執だったりします。
それが謎解きの部分でどんどん明かされます。
(ただし、京極堂は明かす前に本人に言ってよいのか確認をとってから話すのです。
ここにぶっきらぼうな彼のやさしさが見えます。じつはヒューマニスト?)
3点目。バラバラ殺人事件の謎解きの時、気が遠くなりました。
切る側の「ある思い込み」のため、切られる側は「最上級の苦痛」を与えられます。
さらりと書いてある(うっかりすると見逃すかも)くせに、これはすごい場面でした。
現場を想像すると痛さが伝わり、恐ろしいのです。被害者からしたら絶望的な恐怖です。
下手な悲鳴などいらない。京極堂の冷徹な語りさえあればいい。
想像力豊かな方は気をつけてください。失神するかもしれません。
スプラッターやゾンビ大好きの私も、ここの恐怖には心底震えました。
文学ってすごい!(なんかあほなまとめ方になってしまいましたが。)
今回も夢中で読ませてくれました。文句なしの☆5です。 京極夏彦の最高傑作という名にはじない作品 京極夏彦2作めにして最高傑作として名高い本作。作中にはさまれる幻想的な「匣の中の娘」女子高生の自殺未遂事件、連続バラバラ殺人事件、戦時中の不気味な研究を続ける医学研究所、匣をあがめる新興宗教など禍々しいが、一見無関係に見える事件が一気に収束してゆくラストが圧巻です.戦後のこの時期に免疫学や遺伝子操作などの言葉自体もありませんし、そういう意味で時代背景と京極堂の説明はやや齟齬がありますが、科学と伝奇ものが絶妙に組み合わされた傑作であることはかわりありません。現代の医学水準で考えれば四肢のない状態で生きていくことも人工臓器、臓器移植などある程度可能な技術です。究極は体のサイボーグ化、脳移植や意識の電脳化などでしょうが、これが本当にヒトといえるのか、元の本人と同一のものなのか、考えさせられます.特に臓器移植に関しては我々はもう一度その是非について考える必要があるのではないでしょうか?猟奇的ミステリ小説の傑作、ぜひご一読されることをお勧めします. 伝奇ミステリー “ヤンデレ”多すぎ(笑)
すっきりしたとも後味が悪いとも云えない独特の読後感でした。
姑獲鳥の夏よりストーリーの構成は向上していると思います。
お勧めです!! 匣の中には綺麗な娘がぴつたり入つてゐた。 女子中学生が深夜の駅で線路に突き落とされ、重症を負う。
そばには、泣きじゃくる同級生がいた。
偶然とおりかかった刑事木場は、同級生の身柄の保護を頼まれ、
一連の事件に巻き込まれていく。
別の場所で起こったバラバラ殺人事件。
箱を持ったお払い師
奇妙な正方形の研究所
登場人物も事件の舞台も不思議な雰囲気をもち、
小説の中に時折挟み込まれる作中人物が書いたとされる小説が
不気味さに拍車をかけていきます。
物語の後に行くにつれ、
最初に投げかけられていた言葉や出来事が伏線だったのがわかり、
とても面白く読みました。
厚い本のうえ、登場人物も多数なのですが、混乱する事も無くすんなりと読めます。
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[ 文庫 ]
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文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)
・京極 夏彦
【講談社】
発売日: 2006-09-16
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 600円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 4
関口君大活躍。 前作の超長編を体験していたので覚悟していたのですが、今回は京極堂の歴史解説うんちくが少ないせいか、大変読みやすくなっていると思います。
今までの百鬼夜行シリーズは飛ばし読みは厳禁でしたが、今回は多少飛ばしても、理解できます。(私はもともと本を読むほうではないにも関わらず、本シリーズにハマってしまったので、気が抜ける感じで、なんとなくほっとしました。京極氏はこんなこと意図していないと思いますが…。)
推理小説ではなくても推理をしてしまうミステリー小説。今回は生死観、儒教を主に取り扱っています。ほとんどの読者は最初の段階で犯人の察しがつくと思いますが、京極堂の憑き物落しでは、やるせなさを感じます。しかし、思ったよりも切ない気持ちが残らなかったのは、ラストシーンでのやり取りがあるからだと思います。
前作で完全に「壊れた」関口君ですが、今回はちょっと逞しくなった気がします。今後の彼の活躍に期待。 2巡目の「姑獲鳥の夏」 ノベルズ版で読みました、4回ほど。
他の方と少し見方の違う話をします、初回物語の内容が少々物足りませんでした、しかし2回3回と儒教の解説に惹かれ読んでおりますと。「これは「姑獲鳥の夏」の創り直しではないのか?」と思えてきました。
前作「塗仏の宴」でおそらく今後宿敵となって現れると思われる「堂島静軒」が登場しているのですが、その堂島大佐が登場せず、またお話のスケールがとても小さく創られているように思いました、「姑獲鳥」以降徐々に物語の持つ空間が広がってきたことを考えれば不思議でした。
そこで思ったのは「塗仏」で物語の第1幕が終わりこの「陰摩羅鬼」で物語の第2幕が始まったのではと思いました、それほどこの物語の骨格は「姑獲鳥の夏」に似ています。
果たせるかな次の「邪魅の雫」は「絡新婦の理」の人が人を操る姿の組直しに読めました。
「邪魅の雫」の次「鵺の碑」はどうゆう物語になるのか期待しております、第1幕の外側に第2幕の物語を数編組み上げ、そこで再び法の外に居る絶対悪意「堂島大佐」と対決する。
そのような構成になっていると思えてなりません。
京極先生は水木しげる先生から「妖怪」のみならず「先の戦争」への怨嗟をも引き継いでおられる様に思います、水木しげるという人物が戦争で受けた心と体の傷を京極先生は我が物として物語は広がってゆくのではと思います。
思い過ごしでしょうか?
京極堂シリーズは是非とも出版順に読まれることをお薦めします。 京極夏彦初体験の方はご遠慮ください。 第一作から京極堂シリーズを順番に読んでいる京極夏彦ファンにはうんちく、トリックおよびロジッ
クともに納得の一冊。本作のうんちくの主テーマは鳥と儒学。懐かしい姑獲鳥についても議論される。
私は「姑獲鳥の夏」読了後、不覚にも本を壁に投げつけてしまった(笑)。(今では京極堂シリーズ
における一二を争う秀逸なトリックであると考えているが)
で、本作は「姑獲鳥の夏」に劣らないまさに驚愕の京極夏彦ならではのトリックおよびロジックを堪
能できる(京極夏彦だからできるor京極夏彦しか使えない)
だが、評価は実質3.5としたい。理由は
語り手が4人いて次々変わってゆくのだが、物語上の時間は進まず同じ時間が何度も繰り返される。
また、長いうんちくのため読んでも読んでも物語が進まない。(少しくどい)
京極堂の憑物落としも控えめで迫力に欠ける。
京極夏彦の長大な小説を読むには覚悟がいるのだが、覚悟して読んでも読了後は疲れた。 シリーズ中最も シリーズ中最も早くにトリック(?)がわかってしまいました。そこに行き着くまでのプロセスが楽しめるので問題ないのですが。殆ど事件とは関係ないかの大作家と関口の邂逅シーンがよかった。★3つにしましたがこれは京極堂シリーズでの相対評価です。 碩学ミステリーの代表格 2003年8月リリース。京極堂第8弾、1,203ページ。読んでいてだんだんミステリーの種明かしなんてどうでも良くなってくる。というのは既に碩学披露の部分で充分に内容が濃く、十二分に読むに値するからだ。本作も途中の儒教と林羅山に対する考察とハイデッガーとの比較の部分には唸ってしまった。最早この段階で読む価値は充分だった。よって種明かしなんて重要でもないな、と思うのだ。不思議なミステリーである。
何しろ日本人の根底にある考え方、というモノ自体が実際は羅山らによって見事に書き換えられ、勝手に修正されたモノである、というのは確かにその通りだと思う。だれも京極のように宗教世界に幅広い見識を持っていないので、仏教も神道も儒教も混ざろうが消されようが認識できないのだろう。そこが実は付け目で、不勉強な脳に誤った認識、あるいは原典とはかけ離れた認識を刷り込んでしまう。かくて中国や韓国の大陸の原典とは遙かにかけ離れた、それこそ宗教性すら逸したモノができあがる。それが井の中の蛙である僕らには全く意識されない。
それらはハイデッガーとナチス・ドイツの関係のように、例えば林羅山であれば徳川四代と結びつき、庶民のコントロールに最適なツールとなってしまう。それは既に学問ではなく、マインド・コントロールだ。閉じられた世界の統率のされ方、それが本作のテーマにも思える。凄い作品だ。
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[ ハードカバー ]
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幽談 (幽BOOKS)
・京極夏彦
【メディアファクトリー】
発売日: 2008-07-16
参考価格: 1,449 円(税込)
販売価格: 1,449 円(税込)
Amazonポイント: 14 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 649円〜
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・京極夏彦
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カスタマー平均評価: 4.5
前半は内田百間に肉薄 内田百間(門構えに月)の幻想小説のような怪談集。全8編で、うち後半の3編が書き下ろし。
他誌掲載作の方がレベルは高い。とくに最初の2編は、人生に絶望した中年インテリの心象風景として優れた作品と思う。一方、書き下ろしは明らかにレベルが下がり、とりわけ最後の一編では、この作者の悪い癖である、まとまらない思弁の垂れ流しが目立つ。
私の子ども時代の記憶は断片的で、たとえば引っ越しの記憶は、眠っていて目が覚めたら新しい家に居て、頭の傍に新幹線の模型が置いてあった、ただそれだけである。なぜそんな、劇的でも何でもない記憶だけが後年まで長々と残ったのだろう?
小さい頃、母が忙しくていっしょにゲームをしてもらえないと、母からよく「花子さんと遊びなさい」と言われた。花子さんと私は、仲良くいっしょに遊んだものだった。そこに居ない誰かを相手に遊ぶ子どもの話はよくあるが、私の場合、そこに誰かの存在を認識していたわけではない。しかし私が夢中で演じた一人二役が意識的なものだったかと言われると、そうでもないような気がする。花子さんはその場に居たのだろうか?居なかったのだろうか?
内向的な人間が密かに考えるような疑問を、本書では何度か扱っている。こうした空想に親近感をもてる読者にとって、本書のリアリティは高い。論理的整合性は乏しくても、主観的整合性が高ければ、小説は十分成立する。それが最近読んで不満であった「おそろし」(宮部みゆき)との違いである。 意欲作 私は京極夏彦氏が書く、こてこてのミステリー作品が大好きだ。
この短編集は一読すると薄く内容もないように感じるけれど、ミステリーの仕掛けやキャラクターといったもの外した、京極作品のエッセンスが凝縮されている短編集です。
まるで京極堂シリーズの関口巽がひとりで思い悩んでいるような話もあえば、荒唐無稽なフリークスが登場したりもする。
徐々に盛り上がってきたところでお預けをくらうような、むず痒くなるサジ加減が凄いと思った。
けっして純文学ではないけれど、とても文学的で考えさせられる話ばかり。 怪談の新境地 京極氏が日常のさりげない"心の揺らぎ"を時の移ろいと共に枯淡と綴った短編集。
冒頭の二作の主人公はかつて所縁があった(かもしれない)場所へ一人旅をする。そこで、死別や離別を含む過去の回想と現在とが入り混じって語られるが、壊れたり死んだりしたのは相手ではなく、主人公自身かもしれないとの印象すら持たせる。過去のある事象との係りで語られるため、現在までに時間の経過があり、過去の事象の記憶や現在の自分の存在感の曖昧性が浮き彫りにされる。「今、こうして生きている自分は何者なのか ?」と言う根源的な恐怖である。「下の人」も、"下の人"はヒロインの別面とも考えられ、やはり人間の存在の揺らぎを感じさせる。「成人」は作者の常態とは真逆の創作過程を踏んだ実験的作品。「逃げよう」も小学生時代の記憶と現在との交錯を狙った作品。「十万年」は作者の怪談観を述べた論文風物語でありながら、シミジミとした哀感を残す秀作。「知らないこと」は兄妹の近所話が続く中、最後に人間の存在性を微塵に砕く本当に怖い話。「こわいもの」は"幽かな霊"と言う本作の題名に係る話で、作者の創作手法が窺えて興味深いと共に、掉尾を飾るに相応しい作品。
筆運びも相変わらず巧みである。各頁の最終行で必ず文を終らせる恒例の書式。「手首を拾う」で石の下から船虫を取出し、「八犬伝」中の妖女「船虫」を連想させ、主人公の妻の状態を暗示する手法。更に、7年前に手首を埋めたのは主人公ではないかと疑わせる妄想の連鎖...。8作の中には、これまでにない新しい作風のものも多いのに、各々違った方向から読む者の存在を揺るがす手腕は流石と言える。従来より幅広い手法で新しい怪談の道を切り開いた意欲作。 題名の通り 8つの短編が収録されていてそれぞれ趣が違います。
物語を読んでいるというよりは、他人のある日常を覗いているような
感じがします。
「怪談」と言うほど怖さを狙っていないし、かといってたんなる小説
でもない。まさに『幽談』というタイトルがぴったりだと思います。
目の前にある世界が突然壊れていくその怖さの表現は素晴らしいです。
日本語の美しさとその表現の可能性を見せつけられている感じが
しました。 居心地の悪い恐怖感 何の為に現れているか判らない「幽霊」、
名前が付いていない「化け物」、
京極先生の他の物語に出てくる「座りの悪い」感じ、
名前の無い妖怪は説明できない恐怖、
まだ半分読んだだけですが、あとを引く粘つく怖さは、怖いこととは何かを考えさせられます。
悪意を向ける者も怖いのですが、何の為にこちらを見ているのか判らない者も怖いです。
一つの事は当たり前の事でも、総てが揃うと異様な姿が現れる、
このこの本はそんな物語が集めてあるようです、
異様な物語を解体して日常を取り戻す陰陽師、異様なお話を組み上げて歪みを収める御行坊主、
京極先生の長編はそのようなお話が多いと思いますが、
この本にあるお話しはその長いお話の中の1ページの恐怖のような気がします。
つまり京極先生の長いお話の一場面に入るような気がします。
まだ半分しか呼んでませんが。
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[ 文庫 ]
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文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)
・京極 夏彦
【講談社】
発売日: 2000-09
参考価格: 1,070 円(税込)
販売価格: 1,070 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 148円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 4
さまざまな「夢」を、京極堂見事に「落とす」!! 宇田川朱美は異常な夢を見る。海の中で自分の体が崩れ、骨だけになっていく…。
山育ちであるはずの自分が、あたかも海の近くで育ったように、波の音を懐かしんでもいる。
そんなことは「あるわけない」から精神が悲鳴を上げる。錯乱する。
幼い頃から見る奇妙で淫靡な「夢」に苦しめられる、元精神科医で教会の居候、降旗。
少年時代と、牧師になってからの体験からある「夢」を抱く牧師、白丘。
そんな3人に、ある事件が絡みついてきます。
逗子の海に金色髑髏が姿を現し、次に白骨化した髑髏、さらに、生首が発見されます。
実はこの髑髏と、冒頭の3人はつながりがありますが、それをつなげるピースが見えにくい。
ついつい様々な思考実験をするはめになり、頭をまた使わせてくれます。
前作より謎めいています。夢という頭の中だけにあるものがが頻出するため、
よりそう見えるのかも知れません。
京極堂、木場、榎木津、敦子、関口、伊佐間以外の主要人物は
みな何かの形で「夢」をもたされています。
(夢に「とらわれて」といってもいいかもしれない。)
それを京極堂が看破し、「落とし」ていきます!
そこはいつもどおり痛快なのですが、宇田川崇さんがあまりに報われないのです。可哀想。
キャラクターでいうと、今回「朱美さん」がとにかく艶っぽい話し方をしています。
この人好きです。
会話での「ン」の使い方がいいのでしょうかねえ。(←伊佐間風にしめてみた) ややエロい 京極堂シリーズ第3弾。
ミステリーとしては前2作よりも凝っていて良くなっていると思う。
薀蓄もフロイト・ユングといった心理学などが出てきて、京極さんの知識量には驚くばかりです。
中盤までは話が進むごとに謎がどんどん膨らんでいき、一体これをどう解決するのか?と思わされますが、京極堂が“憑き物落とし”に入ると一気に収束しました。
後半はややエロティックな気がしました^^; お家復興のため骨に妄執する人々のお話. 百鬼夜行シリーズ3作目は、骨とり合戦のお話.朱実と民江の入れ替わりや頭蓋骨をめぐる争奪戦、なぞの復員服の幽霊などあらかた読者には展開が見え見えなのが京極作品の優しさだと思いますが、今回は京極堂が最後の方にならないと現れず、彼のウンチクを楽しみにしているわたしとしてはそこに行き着くまでが退屈で読み続けるのに苦労しました.しかし、種明かしの趣向がなかなかかっこ良く苦労が報われた、ほっとした最後でした.さすがに前作に比べるとレベルダウンは否めませんが、毎回、傑作を期待するのもこくでしょう。できれば、お話の序盤から京極堂にはがんばってほしいものです. 「漸く死人が生き返った。これで僕の反魂の術は成功だ!」 死んで首を落とされたはずの夫が、生き返って家にやってくる。
教会に相談に来た女が仰天するような告白をする。
その告白を聞いた牧師と元精神科医は、それぞれ自分の「トラウマ」と対峙せざるを得なくなり煩悶する。
告白を聞いた元精神科医は、木場刑事と榎木津探偵の幼馴染だった。
たくさんの事件と謎が詰め込まれていて、読んでいてあきさせません。
また、本ならではのトリックがあって最後の事件が収束していく様に
「ああ、そうか」
と膝をたたきました。
これだけ厚いのに混乱しないで面白く読み薦める事が出来るのにも感心しました。
面白かったです。 夢 夢 夢。 前作最後の最後でおいしい所を掠め取った伊佐間君が今回は結構登場します。
お馴染みのメンバーが出てくるまでしばらくかかるのと、精神分析に精通していないことで、なかなか読み進めるのに時間がかかりました。また、古事記など日本史がわかったほうがさらに読みやすいかと思います。
前回前々回の事件よりそんなに日の経っていない話ですので、それらを読んでいたら、ますます楽しめる作品ではないでしょうか。
今回はある程度読んだ人なら想像のつく展開かと思いますが、それでも、京極堂の憑き物落しは必見の価値はありました。
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[ 文庫 ]
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文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)
・京極 夏彦
【講談社】
発売日: 2002-09
参考価格: 1,400 円(税込)
販売価格: 1,400 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 710円〜
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・京極 夏彦
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カスタマー平均評価: 5
ここまで複雑な事件をよく考え出したなあと感心しました。 2人の殺人鬼が現れます。その事件を軸に話は進んでいきます。
こう書くと、事件は一つと思われるかもしれません。
しかし、2つの事件は全く関係ありません。そうなると、次には、
単なる構成がしっかりしていない、長いだけの小説と思われるかもしれません。
そうではないから読んでしまうのです。しっかり最後に「そういうことか!!」と
思わせてくれます。毎度のことながら。作者の構成力、ものすごいです。
その分、気合入れて事実関係を整頓しながら読まないと訳が分からなくなり、
せっかくの伏線に気づけない悲劇が起こりえます。読み応えの点では図抜けて良いです。
前作までの登場人物もちょこちょこ出てきて
順に読んでいった方にはうれしいかもしれません。
毎回そうですが、女性がひどい目に遭います。
今回も連続目潰し殺人の犠牲者がぼんぼん出ます。
作者には女性への加虐趣味があるのか?と思わせるくらいの徹底振りです。
かなりの完成度を誇ります。また、人物造詣に厚みが加わり、
各人がよりしっかりとした立ち位置を持ってきました。面白いですよ。 女性と日本文化についての考察。 京極堂シリーズの目玉は、何といってもつきもの落としですが、今回も千葉の田舎を舞台に連続猟奇殺人が多発し、その謎を明かしながら、その関係者のつきものをおとしてゆきます。売春や性風俗と女性の人権についての考察を、面白く拝聴しました。今回は榎津探偵が活躍し、笑わせてくれます。からまった蜘蛛の糸が次第にほどけていくように明らかになった行く様がとてもよく練られています。ただ登場人物が多く付き物落としが長過ぎたことと、殺人犯が、精神異常者というのが少々残念です。もちろん、正常/異常とのわく引き、差別などはあってはならないですし、また、同様に罪にも問われるべきと思いますが。 蜘蛛の糸のように。 何気ない人間関係・事件が、蜘蛛の糸のように絡まってきて…。百鬼夜行ギャングも徐々に絡み取られていきます。作品中の込み入った人間関係に関係性を見出した時は鳥肌が立ちました。
むっとむせ返る程に、どこを見ても、そこには女性、もとい女がいます。
過去の作品の登場人物も関係してくるところが、京極作品を読む醍醐味ではないでしょうか。
冒頭のシーンの風景描写がとても綺麗で、よく仏頂面と表現される陰陽師の表情がなんとなく柔らかく優しい感じがしました。
家などというものは妖怪と同じだ。名づけなければないに等しい 「あなたの後ろに幾つ骸を転がせば気が済むのです」
と京極堂にいわしめた蜘蛛を名のる女性
女性の眼球に細鑿を突き立て殺害する連続殺人
基督教系全寮制女学校でくりひろげられる背徳の集い
蜘蛛の巣屋敷と呼ばれる旧家での相続争い
連続すると思われる殺人事件の担当になった刑事木場
女学校の調査依頼を受けた探偵榎木津
遺品を査定するために蜘蛛の巣屋敷に招かれた骨董品屋今川
それぞれが、謎をたどるうちに
蜘蛛を名のる女性の目的へと収束していく様が見事です。
たくさんの事象を詰め込んでのまとめあげてあり
読み応えがあります。
「勿論僕は女権拡張論者ですよ」
と答える中善寺が解く
「七夕」の解釈など、
色々な文化と神々、伝説の隠れた意味の数々がとても興味深いものでした。 最高傑作 多くの方のご意見どおり、京極道シリーズの最高傑作だと思います。
女性をテーマにして、ここまで書いてくれました。
陳腐な昔ながらの「男は男」みたいな理屈や「女性は素晴らしい」
みたいな理論に偏らない理論を展開しているのは大人の書物として、
読むに値するものと思います。
ただ、個人的には冒頭にラストシーンを持ってきてほしくなかったですが‥
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