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[ 新書 ]
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歴代海軍大将全覧 (中公新書ラクレ (177))
・半藤 一利 ・秦 郁彦 ・横山 恵一 ・戸高 一成
【中央公論新社】
発売日: 2005-05-11
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 839円〜
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・半藤 一利 ・秦 郁彦 ・横山 恵一 ・戸高 一成
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カスタマー平均評価: 4
帝国陸軍vs帝国海軍 大将戦 歴史探偵・半藤一利さんが中心の、帝国陸海軍の大将列伝の海軍版。陸軍版が三分冊になっているのに、海軍は一冊で済んでいるのは、海軍大将の絶対数の少なさだけではない。よくも悪くも、政治家軍人が多い陸軍に比べて、海軍はテクノクラート集団だけあって、後世に名を残す印象が強い大将は少ない。
筆者たちも、何人かの有名大将(山本権兵衛、東郷、山本五十六、伊藤成美など)を除くと、そっけない感じだ。
海軍派の私としては、ちょっと残念!ということで星4つであるが、草創期から滅亡にいたるまでの、海軍史を人物から俯瞰できる、出色の書であることは間違いない。(でも、陸軍編のほうが、面白いなあ) 敗戦にいたる海軍の責任者を選ぶとすると、 これら海軍大将たちのなかから、大日本帝国に敗戦をもたらした海軍側の責任者を選ぶとなると、衆目の一致するところ、まず間違いなく筆頭に来るのは、「元帥・伏見宮博恭王大将」だろうね。
海軍軍令部総長として、将官最先任者として、艦隊派・アンチ軍縮条約派として、昭和期の海軍人事に絶大な影響力を行使した責任は隠しようがない。天皇免責との関連で、宮様なので戦犯指名とはならなかったが、太平洋戦争開戦までの流れのなかで日本海軍の果たした役割と責任を問うとなると、海軍側ではA級戦犯候補の最右翼といえる。
2人目は「元帥・永野修身大将」。これまた誰からも異論が出ない線だろう。
独ソ開戦にさいして南部仏印進駐を強く押し、米国から石油禁輸を食らうと、あとはもう日米開戦一直線になってしまった。極東国際軍事裁判では海軍側A級戦犯のトップにあげられたが、裁判中に病死する。判決を受けるまで存命だったら、死刑だったか、それとも終身刑だったか、さて?
3番目は「及川古志郎大将」だろうなあ。第2次、3次近衛内閣の海軍大臣として、三国同盟締結と日米交渉における中国撤兵問題の不決断と、この両方の責任者だった。
たまたま太平洋戦争中は軍政系統の役職に就かなかったためか、A級戦犯訴追を逃れてしまったが、どうして彼が戦犯を外れたのか不思議なくらいだ。陸軍の田中隆吉に相当するような、連合国側に内部情報を売る存在が、海軍にはいなかったというわけか。
その次が「大角岑生大将」。犬養内閣5・15事件と岡田内閣2・26事件のときの海軍大臣として、条約派を片っ端から予備役に廻し、海軍中央部を艦隊派で固めた張本。
もっとも、当人にはコレといって見識があったわけではなく、だいたいは伏見宮の意向に諾々と従った処世術だけ。日米開戦直前、飛行機事故に合って亡くなったのも、何となく影の薄い存在にしている理由。
それから「末次信正大将」。彼は外せないだろうね。
東郷元帥や加藤軍令部長、伏見宮あたりを引っ担いで、ロンドン海軍軍縮条約を潰そうと企んだ艦隊派連の中心的存在だったといえる。たとえていえば、陸軍の真崎甚三郎と同類、その海軍版といった役どころ。2・26で真崎が失脚したのに対して、末次は、政治家に転進して国家政策への影響力を残したが、戦争末期に死去したのでA級戦犯にならなかった。
あとは、「元帥・東郷平八郎大将」、「加藤寛治大将」、開戦時、東条内閣の海軍大臣だった「島田繁太郎大将」、それと「高須四郎大将」ってところが横一線というあたりかな。 陸軍=悪、海軍=善でもない 中学生の頃、軍事オタク化しかけたことがありました。さすがに浮いてしまったので、もう二度とこの領域に深入りはしませんが、歴史として一応知っておこうかと。優秀な提督はやはり日露戦争を指導した世代までのようです。太平洋戦争指導層は、井上成美以外はことごとくバッサリやられていました。総じて、軍人というイメージからかけ離れた普通の人たちといった印象を受けました。東郷平八郎が日露戦争後の日本海軍の人事面におよぼしたマイナスの影響などについても書かれています。日本海軍については、いろいろな俗説があるようですが、この本は比較的そういったものから自由なのではないでしょうか。ただし、客観性についてはやや割り引いて見るべきと思われます。 海軍という組織の成功と失敗から学ぶところは大きい 新書としては非常に珍しい分厚さ。 勝海舟から第二次大戦終戦までの大将がすべて収められている。 軍隊という最も合理的であるべき組織のトップである大将たちを見ているとその時代の日本の成功や失敗をよく象徴している。日清・日露の成功と第二次大戦での挫折に至るまで大将を見ていくと人材登用のあり方の成功と失敗とがよく連動しているのが見て取れる。 いつの時代であっても通用する組織論の教訓が汲み取れる。 大将の名に値する人は少なかった 歴代海軍大将の歴史名鑑。対談中の逸話などは、なかなか面白いものもあります。あれだけ騒がれる山本権兵衛も結局、西郷従道という知己を得て活躍することができたこと、東郷平八郎の抜擢における日高壮之丞との美談(連合艦隊司令官に順当なら日高。しかし山本は閑職の東郷を抜擢。泣いて馬謖を切った)は有名ですが、山本は実は日高とは仲は悪かったこと、東郷抜擢の理由は「運がいい」だけではなく、その能力を冷静に見極めていたことなどが示唆されています。その東郷も晩節を汚すようになったことなど、彼らの人間らしいエビソードはなぜか安心させるものもあります。また、こうしてみると(少なくとも私には)、大将といっても随分世にでないままで知らない人もいたんだなあ、と認識を新たにします。日本海海戦の島村速雄などは印象的で、立派な研究の一方、その功を部下の秋山真之に帰するなど立派な人格的側面が伺えます。概して、日清・日露・太平洋戦争中の将軍には、良きにつけ、悪しきにつけ目立つ人が多いです。やはり環境が変化し、軍人としての能力が顕在化すべき時に仕事ぶりがはっきりする、ということなのでしょう。 本書最後に、俯瞰すると大将の名に値する人は少なかった、という感が述べられています。太平洋戦争中こうしたのに、こう言ったのにどうにもならなかった、という何人かの戦後のコメントを読むと確かに「どうにもならなかった」結果を招いたあなたの大将としての責任はどうだったのだ、と自然に考えてしまいます。人が死んだのです。責任はとてつもなく大きかったはず。後世の評価ということでやや結果論、のきらいはあるものの、その重要性を認識するとともに明治期と、総じて金属疲労を起こした昭和期の人材登用の仕組みの違いも感じます。
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[ 新書 ]
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人間不平等起原論・社会契約論 (中公クラシックス)
・ルソー
【中央公論新社】
発売日: 2005-06
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 828円〜
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・ルソー ・Jean‐Jacques Rousseau
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カスタマー平均評価: 2.5
ここでは「社会契約論」について 全編は、4部構成。第1編と2編は、原理論であり、社会契約、土地所有権、主権と一般意志などについて、検討。第3編は、政治形態の具体的なありようの検討、4編は国家の維持のための手法、役職などについて検討される。ルソーの逸話や肖像画の風貌を通して、大天才ならではの明快なセンスのある論を期待するだろうが、読んでみると、なんとも、肝心な部分部分で、歯切れの悪い不明瞭さが付きまとい、単なるレトリックの問題ではないことが分かる。丁度、デカルトの著作が明晰だ、というおかしな風評(これまた肝心なところになると収まりが悪いのが実態)と同じだ。逆に言えば、かなり悪戦苦闘していると思われ、1編2編の原理論で、どことなく不明瞭な感じのする理念や概念の設定(一般意志など)が、3編4編の現実的な分析になると、関係諸概念との境界線が現実上定めにくくなるはめに陥り、予想通りにその弱点を露呈する。新奇な概念、革命的な発想とは斯くも惨憺たるデビューをせざるを得ない。だが、絶対王政の最中、気は確かかと言いたくなるような過激極まりない発言の連続は、虚心坦懐に読めば、今でも、その迫真力は抜群で、まさに「革命の書」だ。本来好き勝手に暮らしていたい人間(ルソーはその典型)が、必要悪から、一旦自身の権利を、共同体に譲渡し、各人が生活の安全を確保しようという「社会契約」の観念は、伝統的な社会契約説の末尾を飾る出色だ。共同体の根拠たる法のバックボーンが「一般意志」だとし、自らに制限を与えて、それに従うことに自由と平等の真の姿を本書で示した。ここまで来ると、カント、ヘーゲルとはもう後一歩だ。だが、正義や法の根拠を、超越的な道徳律に根拠を求めたカントより、歴史的・社会的な過程での相互承認を経て法・正義に到ることを唱えるヘーゲルのほうが、ルソーの直系という感じはする。ヘーゲルの「自由」の観念は、まさに本書の伝統を承継している。後世、ルソーを共同体主義、民族主義、ロマン主義として批判する哲学が流行したが、本書を読んでそういう頓珍漢な批判をして飯の種にしている程度の良くないものであることが判明。売名行為ではなく、もっと切実な必要から社会思想とは生まれるもので、ルソーは身の危険を顧みず本書を書いた。なお本書の中に政府の置くべき場所として、「都市」が語られている点はなかなか興味深い。 あなたが悪平等主義を是とするならば…。 この本が説いているものは、「持たざるものの平等主義」に他ならない。確かヴォルテールだったかと思うが、「あなたの著作物を読んでいると、人間は四足で歩きたくなります」と、実に皮肉った言い方でルソーを批判していたことを思い出す。この本が説く平等は、ルソーの妄想が生み出した幻想に他ならないが、やがてこの考え方がフランス革命の立役者ロベスピエールに引き継がれてギロチン台による大量粛清を生み、最終的にはマルクス主義へと派生していったのは、歴史が示すとおりである。
間違えてはならない。ルソーが示したものは、文明を捨て、野蛮な原始人へと戻る退廃への道に過ぎない。あなたが動物状態の、いまだ文明なるものを獲得し得ない「人民」達の楽園を望むのであれば、本書はバイブルとなりえようが、ただし、その先に待ち受けているものは、楽園の仮面をかぶった地獄でしかなことをよく理解しておくべきだ。 狂気の書 バークが彼を「狂えるソクラテス」とよんだのは有名だが、実際、彼は精神病に犯されていたことは日本ではあまり知られていない。 彼は巧みなレトリックでもって人間の意思を三つにわけるが、最終的には主権者たるはずの人民(国民)は超越者(独裁者)の決定をただ追認するだけの存在となり、立法の中身を審議することなどない。人民に求められるのはそれが一般的意思にかなっているか否かだけである。(この段階になると人民は独裁者の意思をただ追認するだけの存在になる。なぜなら拒否すれば待っているのはただひとつの道しかないからだ。) ルソーが目指す世界、それは全ての自由、全ての富を人民から奪うことにより達成される絶対的にして究極のただし暗黒の「平等」である。 彼のいう自由とは超越者に従う自由である 彼に公も私もないのである。 「自由がないのが自由である。」これが彼の結論であり彼の夢想する世界を初めて現実としたのが、ロベスピエールでありルソーの忠実な使従であった。よもやルソーとフランス革命の深い関係を否定する者などいないだろう。 ルソーの思想は人間の自由を否定し憲法を破壊する、この世にあってはならない狂気の思想である。もちろん彼の思想がもたらした惨劇はフランスだけにはとどまらなかった・・・・ アメリカ建国の父の一人、A・ハミルトンが、なぜ徹底的に反人権、反主権を唱え、議会の専制を防止するため策を巡らしたか、ルソーを僅かでも評価しようなどという者は考えるべきである。 冷静に読もう。 本書で一般意思の無謬性を説いたことをもって、ルソーこそ全体主義の源流だと評する人もいる。しかし、ルソーは一般意思は公共の利害に関ることにしか及ばないと明言しており、人間の生活領域をパブリックなものとプライベートなものに分割し、国家の介入を前者に限定するというリベラリズムの基本理念は本書でも保たれている。
また、本書で民主政は神々には適しても人間には適さないと説いたことをもって、ルソーにアンチ民主主義のレッテルを貼る人もいる。しかし、ルソーが本書で言う民主政とは直接民主制のことであって、今日で言うところの議会制民主主義は「選挙制貴族政」と分類されているのである。
全体に、叙述がロジックよりもレトリックに流れているのは否定できず、そのことが様々な誤解を生む原因にもなっているのだと思う。書かれていることを冷静に読み取るようにしたい。
なお、本書でルソーは、主権の担い手である団体としての国民を「主権者」と呼び、統治の客体となる個々の国民を「臣民」と呼んで区別したが、この区別は今日でも有用だ。自分は国民である以上主権者で、従って国家に対して無限に要求できると本気で信じている人がこの国には少なからずいるからだ。
翻訳は、岩波版よりこちらの方が読みやすいと思う。 むずかしい? このような社会契約説を良く思いついたなあと驚きました。フランス人権宣言に合致するような言葉や考えが出てきているので歴史好きの方にはまあまあ面白いのではないでしょうか。
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[ 文庫 ]
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柳田国男論・丸山真男論 (ちくま学芸文庫)
・吉本 隆明
【筑摩書房】
発売日: 2001-09
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 830円〜
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・吉本 隆明
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カスタマー平均評価: 5
西欧的とアジア・アフリカ的 「スターリ二ズム―ファシズム―官僚主義の円環/循環構造」ということが語られている。つまり国家という枠組みがある限りこの構造は保持されて潜在的に循環することを待っている、というわけだ。ここですべての教育主義=官僚主義者はふり落とされることになる。
そして、この構造を支えるものは丸山の分析と違い上層でも下層でもない「中層」のメンバーである、となる。
人文社会科学は理念を以って自らの存在理由を偽装するが、正しい知識に対する妄念や信仰であり、それが無いものを排除する官僚主義の自己正当化のドグマでしかなくなっているように思う。そして理系の人々もそのモラルはそうしたものに準じている。マスコミはドグマと社会の実際のギャップの隙間に乗じて騒ぎ立てているだけだ。加藤典洋だったか、吉本は「丸山真男論」が一番だと言う話があった。手法がすべて現れているともいう。大学知識人にたいする距離の置き方、日本の後進性の客体視等か。
吉本は丸山の「現実的立場」は当時の共産圏=スターリン主義の枠組みを越ええず、「虚構の立場」は古典マルクス主義には不可能であった日本の政治体制と思想の実体構造を分析する原理的統一の道を開いたと評する。つまり「アジア的国家」の分析の問題を通じて柳田論へと繋がることになる。そういう意味ではこの文庫では順序が逆だろう。
他方柳田国男は、始め苦手だったが後に一種の普遍的な学問の手法ではないかと評価が一変し、天皇制の根拠たるアフリカ的段階にまで覡野がとどいていたのではないかとしている。超資本主義の考察と同時期に、柳田を通じて人類の原型、歴史の原型を見てゆこうと言う視点も深まってゆく。ここには西欧近代官僚主義とアジア的封建主義遺制ともどもまず「理論=虚構の立場」的に乗り越えようとする吉本の苦闘が伝わってくる。
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政治に干与した軍人たち (有斐閣新書)
・富田 信男
【有斐閣】
発売日: 1982-01
参考価格: 609 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 830円〜
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・富田 信男
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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明治大正見聞史 (中公文庫)
・生方 敏郎
【中央公論新社】
発売日: 2005-08-26
参考価格: 1,100 円(税込)
販売価格: 1,100 円(税込)
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 825円〜
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・生方 敏郎
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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『りぼん』のふろくと乙女ちっくの時代―たそがれ時にみつけたもの (ちくま文庫)
・大塚 英志
【筑摩書房】
発売日: 1995-02
参考価格: 673 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 820円〜
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・大塚 英志
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カスタマー平均評価: 4
矢沢以前の少女マンガ史 □わたし自身は、90年台なかばから『りぼん』を読み始めました。
本著で示される70年台から80年台は、リアルタイムでは経験
していません。
□90年代以降を代表する少女まんが家を仮に「矢沢あい」とすれば、
…もちろん「吉住渉」でも構いません!…
…でも「さくらももこ」ではダメです!(わけは読めばわかります)…
この著作で描かれるのは「矢沢あい」的なストーリー(すなわち学園を舞台に、
狭く閉じた世界のなかで情景豊かに物語が展開してゆく)へまで接続して
ゆくプレ・ヒストリーである、と言えるでしょう。
□わたし個人としては、90年台半ばの少女まんが雑誌の(年齢的な)序列、
「ちゃお」<「りぼん」<「なかよし」が、どのように生まれたのかな?
なんてことも考えながら読んでました。
□読者対象は、この著作で検討対象となってゆく、50年台後半から60年台半ば
生まれのかたを念頭においているのでしょう。しかし私のように、それ以後
の少女まんが読者にも、いろいろ夢想しつつ読める著作です。 なつかしき古きよき時代よ・・・。 30年ほど前の少女雑誌「りぼん」についていた付録について語った本です。なかでも、「乙女ちっく路線」と呼ばれた、田淵由美子、陸奥A子さんのふたりにスポットを当て、当時の読者の声をはさみながらその頃どんな付録がついていたか、人気があったかなどを実証しています。 ほかにも太刀掛秀子、おおやちき、みを・まことなどの名前もあり、なつかしさいっぱいです。星が4個なのは、実物の付録の写真がついていれば完璧なのになあと思って。 ちなみに、この頃は紙で作ったものがほとんどでしたが、いまや「ボールペン」や「髪どめ」「ペンケース」など、プラスチック、金属性のものが主流です。付録も様変わりしてますねえ。
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[ 新書 ]
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子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)
・阿部 彩
【岩波書店】
発売日: 2008-11
参考価格: 819 円(税込)
販売価格: 819 円(税込)
( 在庫あり。 )
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・阿部 彩
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カスタマー平均評価: 4
おすすめだが所詮は新書 とても身近な問題だけに多くの人に読んで頂きたい。
が、岩波に限らずこういった新書を読む人って少々限られるのが残念なところ。
イメージ的に軽くなるんじゃないか?という危惧もあるが、
まんがというメディアのほうが良かったのではなかろうか?
とにかくこの本、こういった(薄い)本では当たり前の
本をよく読む人には読み易いが、あまり読まない人には読み辛い
いたってシンプルな(芸の無い)構成で書かれているので読者を限定する。
一千万部程売れて欲しい(読まれて欲しい)本だが、
とてもじゃないが100万部、というか50万部もいかないんじゃなかろうか。
(正直にいえば10万部いかないと思う。)
まんがとまでいかなくても、もっと大きなサイズで、大きな文字で、
イラストも多数まじえて、といった本にしたほうが良かったように思う。
サブタイトルの『日本の不平等を考える』もくどいので要らない。
少なくとも月に10冊,20冊と本を読む方よりも
年に数冊といった方の眼に留まりやすい形で出たほうがいい。
そういった方にもっと読んで欲しい本です。
あと、子供に地盤,看板,鞄を継がせたいと考える
『子供』には優しい政治家の先生方にも読んで欲しい本です。 このままではわが国の未来はない! 日常的に誰もが感じているが言葉にできないこと。何とかしたいと思っているが、煩雑な日常に流されている人。誰もが何とかしたいと思っている。そんな人にふさわしい一冊だ。 消費税という論点をどうみるか? 本書はOECDの提示する相対的貧困のデータを中心にして、日本における子どもの貧困問題が深刻な状態に陥っていることを指摘する。特に所得再分配後に貧困率が日本は唯一上昇していることが(p96)、日本の所得分配システムの大きな欠陥とみる。
私自身もこの本を噂を聞いた段階では日本の盲点だったのか、と思いましたが、実際に読んでみると、OECDの相対的貧困の定義には欠陥があるように思います。すでに先行レビューでかすってる議論ですが、その定義は「世帯所得+社会保障給付」にあります(p44)。ここには「消費税」という概念が含まれていません。いうまでもなく、消費税は所得層に関係なくかかっているので、その税率が上がれば貧困層が苦しむ仕組みがあります。しかし、Wikipediaあたりをみる限りは(税制度には詳しくないです、すいません)、日本はOECD加盟国の中ではかなりそれが低い。したがって、ここでいわれている海外の貧困層と日本の貧困層の割合が変化し、逆転する可能性はおおいにありうる。各国の消費税事情に関すること、その消費税の問題を考慮した上でも日本の貧困傾向は同じなのかには本書で何も触れられていません。
ちなみに海外の消費税制度については食料品など低減税率が採用されていますが、このような低減税率はこの相対的貧困の議論とはかみ合いません。6章の子どもの必需品についての議論にもあるように、論点はむしろその国における平均的な生き方が基準になっています。現在、生活保護の保護率は2.5%程度ですが、この貧困のラインと混同した主張が一部も見られます(p37にみられる本書の主張とp42-43の相対的貧困の定義がかみあっているのか、という問題です)。今後消費税が増税されていけばこの相対的貧困の定義でも問題視していくべきですが、このOECDのデータを中心に制度批判を行う妥当性が弱いようにみえます。
この問題点があるにしても、おそらく4章にみられる母子家庭における貧困問題は非常に深刻なものでしょう。私なんかはこちらの方が早急に解決すべき1番の問題点だと考えます。夫婦+こども2人という家族観が日本の諸制度を強く規定しているという話を聞きますが、この点は柔軟に制度設計されるべきでしょう。
(なお、一度レビューを削除されたものを訂正させて頂きました。関係者からのクレームであったのなら、お詫び申し上げます。) 「子育て支援」から「子育ち・子育て支援」へ 表題は、本書が参考文献に挙げている『季刊社会保障
研究』第43巻第1号の巻頭言を援用しました。本書の著
者の立場、すなわち「子どもの数を増やすだけでなく、幸
せな子どもの数を増やす」ことへの政策目標の転換とい
う立場を端的に語っていると思ったからです。
さて、本書は相対的貧困、貧困の測定、貧困の不利、
不利の連鎖とオーソドックスに論点を進めた後、子どもの
貧困を捉えるために多数の合意による指標の標準化を
試みています。結果は何とも皮肉なものでしたが、これ
は固有の意義があるものと思いました。
数ある提言のうち、わたしが注目したのは、アメリカで
行われているというヘッド・スタートという(貧困の不利を
極小化するために幼少期から包括的な支援を行う)プロ
グラムです。紹介されている『子どもの貧困』(明石書店
2008)所収の実方伸子論文も、合わせて読んでみまし
た。現在公立保育所で行われている各種の実践を整理
し、目的に沿って自覚的に再構築することで、それへの
展望は開けるのではと思いました。
本書を読み終えて、もう一度『生活保護の経済分析』
(東大出版会 2008)の著者の執筆論文を読み直してみ
ました。同じ論旨が伺えました。それをかみ砕いた上で、
コンパクトにまとめてくれた本書が、昨年の新書大賞の
ベストテンにさえ入ってないというのは、何とも合点の
いかぬことです。
将来の日本のために残されている時間は、とても少ないような気がする。 先日のNHKクローズアップ現代で、2夜連続で教育や医療を受けられなくなっている子供たちが急増しているという報道をしていた。進む不況の中で、貧困がここまで広まっている現実に愕然とした。
本書は、最近よく言われる「格差」という視点ではなく、今まさに広がりつつある「貧困」に焦点を当て、豊富なデータを示しつつ問題点を浮き彫りにしている。
また、本書では主観的になりがちな貧困の定義を「その社会において最低限の生活をしていくのに必要な水準」として明確にし、議論の出発点としている。
驚くべきは、先進諸国との比較で、勤務収入などから得られた所得と税金や社会保険料を控除して児童手当等を分配した後の所得の比較をすると、日本は18カ国中唯一子供の貧困率が上がっているとしている。つまり、我が国は子供への社会福祉政策が機能していない国であるという現実である。
さらには、17人に1人が母子家庭の子供というが、ここで紹介される多くの母子家庭の厳しい現実に、早急に手を打たなければこの国の未来は悲観せざるを得ないと考えさせられた。
これらの我が国における厳しい現実をふまえて、本書では子供の貧困問題に取り組むイギリスの例を参考にしつつ処方箋を示している。
それらの提言の中で、著者独自のものとしては、「財源を社会全体が担うこと」、「給付付き税額控除」、「公教育の改革?高校・大学教育の無料化」、「少子化対策ではなく子ども対策を」といったものである。
支出の削減という美名の元に、未来を担う子供たちが確実に貧困にあえいでいる。
将来の日本のために残されている時間は、とても少ないような気がする。
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[ 文庫 ]
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講和条約―戦後日米関係の起点〈12〉 (中公文庫)
・児島 襄
【中央公論社】
発売日: 1998-01
参考価格: 960 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 818円〜
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・児島 襄
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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増補 地図の想像力 (河出文庫)
・若林 幹夫
【河出書房新社】
発売日: 2009-02-04
参考価格: 998 円(税込)
販売価格: 998 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 812円〜
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・若林 幹夫
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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基本六法〈平成14年度版〉
【金園社】
発売日: 2001-11
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 767円〜
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カスタマー平均評価: 0
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