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[ 文庫 ]
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述史新論 (保田与重郎文庫)
・保田 与重郎
【新学社】
発売日: 2003-02
参考価格: 1,323 円(税込)
販売価格: 1,323 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 3,980円〜
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・保田 与重郎
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カスタマー平均評価: 4
反近代のマニフェスト このように透徹した文章がすでに書かれていたのだ。 近代に対する疑い、中途半端な否定は世の中に満ち溢れているが 否定の代償を見極め現今の繁栄をも否定し去る文章がまずまれだ。 加えるに、清貧の思想にあるルサンチマンは微塵もない。ひたすら おおらかな農本思想に裏打ちされているが、根本は著者のこの国に 対するビジョンである。そして、それは50年におよぶ文物との 無私な交流によって成ったことがわかる。 このビジョンは素晴らしいものであるが、またこのうちにあって 著者が確固たる自信と喜びを我が物としていることは疑いないが、 われわれのなすべきは、この国の現在を明晰に把握し、農業以外の 生業にあってもこのような自信と喜びを抱けるように生活を立て直す ことであろう。
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[ 文庫 ]
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美術という見世物―油絵茶屋の時代 (ちくま学芸文庫)
・木下 直之
【筑摩書房】
発売日: 1999-06
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,312円〜
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・木下 直之
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カスタマー平均評価: 5
抜群のバランス 価値観も言語も違う江戸と明治以降を成功裡にブリッジしている。著者は、見世物から美術へ
の変容(見る側における意識、実際の姿の双方が同時進行する)を見事に描き出す。認識にま
で影響を及ぼした歴史の転換を記述するのは曼陀羅を文字化するような原理的な困難を伴うと
いえ、方法としては非常な注意が求められるが、それを論点とする著者のスタンスは実に確か
である。挙例による牽強付会も、仮説に基づく牽強付会も見られず、仮説と検証のバランスが
うまく保たれているのは出色。著者にしたら当然ながら、現在の自ら(ここでは少なくとも明
治以降)の言語・価値観で、別時代(延いては別地域にも当てはまるといえる)に踏み入るこ
との危険性を改めて確認させられる。
結果、全編を通した著者の筆致を通じて、筆者は一つの語り(騙りであったとしても)として
実に楽しく、一気に読み通せた。図らずも、見世物における口上の重要性を知らされた気すら
する。見事に描き出された姿を通じて江戸の豊饒を知ると同時に、明治期における近代の受容
のありようが現在の状況に対する批判的検討の礎になる(同時に、伝統日本の限界も見えてく
る)と知ることを、本書の成果がもたらす副産物と云ってしまうとしたらあまりにもったいな
い話だろう。
(私は平凡社版で読んだ)
日本近代美術史への異議申し立て かつて兵庫県立近代美術館学芸員として「日本美術の19世紀」という衝撃的な展覧会を開いた著者が、その内容の一部をさらに詳しく論じた書物。生人形、見世物としての油絵など、幕末明治期の美術の周辺に置かれてきた造形表現を広く探り、日本近代美術史の再考を迫った。著者は、もちろん移植された制度としての〈美術〉に自覚的だが、制度自体の沿革をたどろうとするのではない。あくまでも具体的な資料そのものから眼を離さず、大量の物と文献とを注意深く公平に検討することを通じて、この制度の呪縛から軽やかに逃れ出ている点がすぐれる。江戸時代までと明治以降との連続性を常に意識し、いわゆる古美術に対する判断にも偏見がない。そこに浮かび上がるのは、美術行政・美術教育・美術展覧会の外側で、そして美術史学の外側で作られ続けていた幕末明治の造形の多様でエネルギッシュな姿にほかならない。平凡社の叢書が初版だが、ちくま学芸文庫で復刊されたのは、より広い読者を得るために喜ばしいことだった。
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[ 文庫 ]
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マニエリスム芸術論 (ちくま学芸文庫)
・若桑 みどり
【筑摩書房】
発売日: 1994-12
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,300円〜
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・若桑 みどり
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カスタマー平均評価: 5
聖愛と俗愛の分断 聖愛と俗愛の分断はティツィアーノにおいては、画面上では垂直におこっている。つまり右と左に泣き別れになっている。ここまではとても参考になった。しかし、欲を言えば、それじゃー日本では同じことをどう考えるのかが知りたい。何事も比較しないと、特に日本人である我々は、日本と比較しないと、本当のことがわからないからだ。その意味で、たしかに若桑みどりのように、天正少年使節のような歴史的な日本と西洋世界の交流を追っていくことには、意義があるだろう。でも絵画論である以上、絵そのものから検討できないのか?例えば鈴木春信の浮世絵、「見立寒山実得」と比較したら。ここから先は、手前味噌だが「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著という本を読むとわかる。日本では聖と俗を水平に分断するし、ティツィアーノのように一枚の絵の中だけで終わらせないことが見えてくる。また女同士だけの関係から男同士の関係へと飛躍する。この話はどこかしら鏡像の左右は反転しても、上下は反転しないというあの光学物理の話題を彷彿させる。この本ではだからこそ光学好きのフェルメール論が主軸となるテーマになっているのだ。 マニエリスムの再評価 日本人によって書かれた殆ど唯一のマニエリスムに関する本格的な論述であり、ルネサンスとバロックの狭間に咲いたあだ花のように蔑視されてきた芸術が開花した歴史的背景とその再評価が若桑氏の深い洞察と広範囲に渡る研究によって明らかにされていく。プラトンによって唱えられた現世における人間の姿、つまり肉体という牢獄に閉じ込められた精神の苦悶とそこから解き放たれる自由への渇望をこの危機の時代にミケランジェロは身を持って体験し、それを自分の作品に具現化させようと試みた。それはもはや現実的な実態とはかけ離れた精神的な実在に迫る表現であり、ルネサンスの物理的に精緻な物差しを使って彼の作品を計り、理解しようとすることは無謀だろう。更にブロンズィーノに至ってはミケランジェロの三次元的な形態は受け継がれたものの、その精神は寓意によってすり替えられた。彼は自分の作品を病的なまでに寓意で満たし、後の時代の人々が解読不可能になるほどの技巧を凝らせた。一方パルミジャニーノは既成の空間を反故にして見る者の視線から焦点を逸らし、なかば強制的に思考の迂回を図った。そうした方法がヴァサーリの言うマニエーラ、つまり作品の背後にある作者の思索を感知させる手段として追求されたのがこの時代の芸術だろう。そうした意味で本書はミケランジェロとその時代を画したアーチスト達の作品を理解するうえで非常に有益な示唆を与えてくれる。また後半部に置かれたマニエリスト達の作品の宝庫、フランチェスコ・デイ・メディチのストゥディオーロについての詳述も圧巻だ。 マニエリスムがよく分かる この本ではイタリアを中心とするマニエリスム美術の特色やイデーなどが明快に、快調な文
体で語られています。なかでもミケランジェロにマニエリスムの作風が著しいという事実に
は驚かされました。この巨人については知らなさすぎました。
またマニエリスムを支える最も重要な理念がネオ・プラトニズムであったことも説得力溢れ
る筆で描き出されています。私の好きな画家ブロンツィノが極めて重要なマニエリスム画家
だったことにも感慨ひとしおでした。
とにかくルネサンスもマニエリスムもバロックも、ヨーロッパの近世以降の芸術はキリスト
教やネオ・プラトニスムなど宗教哲学の背景なしには語れないことが痛感されます。こうい
うことは学校教科書的知識では実体的に捉えることは難しいでしょう。それにしてもこうし
た気鋭の研究者の著書を読み、図版を眺めていくと、近・現代絵画とは異なる歴史性の重み
を担った豊かな世界に体ごと包まれ、豊沃にされ、高められていくような感慨に誘われます
。
「マニエリスム」の歴史上の再発見 マニエリスムという語を初めて聞いたのは昨年フィレンツェに旅行した際、ウフィツイ美術館でパルミジャニーノ(Parmigianino, Girolamo Francesco Mazzola, 1503-1540)の《長い首の聖母》を見た際に上の空で聞いた説明でした。その時は何も分かっていなかったのですが、かすかに「首が不自然に長いという特徴があり、マニエリスム絵画の一つである」といいったような内容を記憶しています。 この一般的にあまり耳にしない単語が日本の美術史界でも常識のようになった今日この頃ですが、日本で初めて「マニエリスム」を紹介したのが著者、若桑みどり氏であるとのこと。この著書は若桑氏が「マニエリスム」の歴史上の再発見について雑誌上で論じた文章を一冊にまとめられたもの。 本のなかでは自然の描写よりも精神的な美を尊んだ画家の意識や、「フィグーラ・セルペンティナータ(蛇状形状)」と呼ばれる不自然に曲がった肢体、観念的な宇宙論など、マニエリスト達の特徴が圧倒的な数の例を参照しながら紹介されており、マニエリスムが一つのエポックで在りえたことが論証されています。 ともすればルネサンスという明るすぎる光に目が眩んで見逃しがちな16世紀絵画の特徴が鋭く洞察に富んだ視点で語られており、若桑氏の慧眼に脱帽するばかり。またこの時代のアンビヴァレントな画家の精神と、宗教改革とこれに対する反宗教改革に揺れる時代背景という共通点が相まって、氏の論の説得力を増しています。 それにしてもトスカーナ大公としてヴァザーリ(Giorgio Vasari, 1511-1574)といったマニエリスム画家達を保護した、フランチェスコ(Francesco I de' Medici, 1541-1587)とビアンカ(Bianca Cappello, 1543〜1587)に纏わる悲話はとてもイタリアの歴史の闇を現しているようでとても興味深い。またそのフランチェスコがヴァザーリとその工房に作らせた、パラッツォ・ヴェッキョのストゥディオーロなどは是非訪れてみたいと思いました。 説得力がある 西洋美術史の「影」ともいえる「マニエリスム期」を鋭い視点で研究している。マニエリスムを「危機の時代の芸術」と説く筆者の論には説得力がある。著者はフェミニズムの視点で芸術論を展開する美術史学の重鎮。
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[ 文庫 ]
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森鴎外全集 <11> ファウスト ちくま文庫
・森 鴎外
【筑摩書房】
発売日: 1996-02
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,300円〜
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・森 鴎外
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カスタマー平均評価: 4.5
森鴎外訳について わたしはこの本を読んだわけではありませんが、森鴎外訳ファウストを呼んだことがあります。 今までに六人ぐらいの翻訳を読みましたが、鴎外訳が最高だと思います。 古典の威力 森鴎外訳。それだけで一読の価値あり。 ファウストという名作に森鴎外の力が加われば、面白くないはずがない。確かに読みづらさなど時代を感じるところもあるが、そんなものは物語の面白さの前に無力化するだろう。古典の味わいは充分に楽しめるはずである。 様々なファウスト訳がある中で、どれを選んだものかと悩んでいるのなら、これはお薦めである。ドイツと日本の文豪の共演。是非とも楽しんでほしい。
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[ 文庫 ]
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坂口安吾全集〈17〉 (ちくま文庫)
・坂口 安吾
【筑摩書房】
発売日: 1990-12
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,298円〜
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・坂口 安吾
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カスタマー平均評価: 3
安吾の自由奔放さ 坂口安吾といえば、堕落論だろう。
こうしたエッセイをまとめた全集は、坂口安吾の当時の姿を垣間見れて楽しい。
小説を書く合間に、好きな囲碁にいそしみ、当時の将棋名人戦で活躍する升田を論じたこの全集は、予想外に楽しく読めた。
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[ 新書 ]
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超時空要塞マクロス大図鑑 (エンターテイメントバイブルシリーズ)
【バンダイ】
発売日: 1991-02
参考価格: 795 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,298円〜
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カスタマー平均評価: 5
ゼントラーディー艦隊のスペックに驚嘆 このエンターティメントバイブルシリーズは、徹底した考証と豊富なデータが魅力の資料本ですが、特に、このマクロス大図鑑では、バルキリーの内部図解が見応えがあります。 また、映像を見るかぎりでも、相当に巨大だと伺いしれる、ゼントラーディ艦隊の艦艇の大きさには驚嘆です。マクロスをスーパーロボット対戦などでしか知らない方にもおすすめの本です。
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[ 文庫 ]
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黒澤明作品解題
・佐藤 忠男
【岩波書店】
発売日: 2002-10
参考価格: 1,155 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,298円〜
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・佐藤 忠男
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カスタマー平均評価: 5
巨星の足音が聞こえる 黒澤明監督に関する本は数多く出版されている。 その中でもこの本は秀逸である。 著者の佐藤忠男さんは岩波書店から刊行されている『全集・黒澤明』 の作品解題も手がけている。黒澤映画の批評に関しては、この本と ドナルド・リチー氏の『黒澤明の映画』(教養文庫)が双璧であろう。 批評は批評のための批評であってはいけない。 批評は作り手及び読み手に、何らかのプラスアルファになることを期待 して書かれなければならない。良い批評とはそういうものだ。 その意味でこの本は良い批評である。プラスアルファがある。 黒澤映画を見て、この本を読んだら、もう一度また黒澤映画を見てほしい。 新たな感動がまたふつふつと湧きおこるはずである。
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[ 文庫 ]
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奇想の図譜 (ちくま学芸文庫)
・辻 惟雄
【筑摩書房】
発売日: 2005-04
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,291円〜
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・辻 惟雄
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カスタマー平均評価: 3.5
見立ての文化 九州国立博物館で伊藤若冲の展示をしたときに購入した文庫。
若冲のことだけではなく、白隠、写楽、北斎のことや日本のデザインの歴史について「奇想」の系譜について書いてある本。ちょこちょこと読んでいたけど先日やっとすべて読了。
おもしろいなあと感じたのは、日本の見立ての文化。直接描写することは逆に失礼にあたる場合もある。神事などはあえて仮物をつかうことで、神様は喜ぶのだという概念が一般的だったというのはおもしろい指摘ではないだろうか。
たしかに、弥生時代から造られてきたミニチュア土器のたぐいはまさにそれではないだろうか。あれはその小ささにより、実用品ではないと皆に認識されたからこそ、神前へ捧げられたのだろう。
話を若冲に戻すが、九国博で見た若冲の絵はすごく迫力だった。とくにその幻想的なまでのリアリティへのこだわりと画面の構成の巧さは、純粋に驚きだった。
僕は、「鳥獣花木図屏風」の迫力とそのユーモアにまいってしまった。枡目描なんて技法が江戸時代からあることにも感じ入った。
カラー版はたしかに欲しいが、それだと1400円には収まらないだろうなとも感じた。
フルカラーじゃなきゃだめよ 「かざり」の文化論をはじめとして、とても楽しい視点
なのだが、やはり、こうした本の図録はフルカラーじゃなきゃ。
そこが少し残念です。
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[ 文庫 ]
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アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)
・ロバート スクラー
【講談社】
発売日: 1995-11
参考価格: 918 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,282円〜
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・ロバート スクラー ・Robert Sklar
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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てるてる天使ポストカードブック
・田村 みえ
【学習研究社】
発売日: 2001-05
参考価格: 893 円(税込)
販売価格: 品切れ中
中古価格: 1,280円〜
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・田村 みえ
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カスタマー平均評価: 3
ちょっとお得感。 ポストカードは1枚200円位するのでポストカードブックはお得な気がして購入しました。田村みえさんのてるてる天使はかわいくてちょっぴり勇気をもらえます。ですがやっぱり高くても欲しいものを1点買いで購入するべきだと思いました。1枚ずつ売っているのはでこぼこがあったりしますがポストカードブックだと好き嫌いが出てきてしまいます(みんなかわいいけど)。これを友人達に送ったら喜んでくれるかなぁと思いました。
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