カスタマー平均評価: 5
「俳優」のすべてがここにある 品不足により中古品の値段が高騰していますが、それに見合った価値が十分あります。はっきり言ってこの本は読んだ人の俳優というものの見方を一変させます。なによりこの俳優という仕事の本質と厳しさを存分に味わえます。
「なぜこんなにこの人の演技は人の心を激しく振るわせるのか。なぜこの劇は自分を心から笑わせてくれるのか。」
「なぜこいつの演技を見るとうんざりした気分になるのか。なぜこの劇のあのシーンは目を背けたくなるほどイライラするのか。」
そんな日常の上で私が感じていた心のモヤモヤもすっきりさせてくれた本でもありました。
演劇に興味がある方は読んで損は 絶 対 に! ないです。
もし役者をしている人がこの本を読んだら、間違いなく、ほかの役者には読ませたくないと感じることでしょう。それほどに、真の俳優の極意がこれでもか、というほど詰まっています。 読んでいて興奮してしまう。 山崎努という俳優には平生から本当の役者だ、と思ってみていましたが、NHKスペシャル「地球大進化」での あまりに素晴らしいナレーションにいたく感銘を受けてこの本を手に取りました。物事を極めに極めて歳を重ねていった人の表情は本当に、それだけで感動してしまいます。 齢40にして悟りきった夏目漱石しかり、数十年を畑に投入した人しかり。山崎努はその中でも特一級の部類に入る 表情の持ち主だと思います。本当にかっこいい。 この本は、もはや前世紀の話、山崎努60歳、新国立劇場での『リア王』の役作りから稽古、公演の日々を綴った 凄絶な日記です。 山崎努は感情豊かです。完璧を追求し、追求し、追求し、生活をリアに費やし、そうした凄絶かつ地道な役作りの中に 見せる人間くさい感情、これも素晴らしく、おもしろい。リア王の解釈も読み進めるたびどんどん深くなっていき、 これほどまでなのか、とびっくりしてしまう。山崎努の考える過程が一つ一つ丁寧に示されていておもしろい。 本当に物語というものは何度も読まねばならない。 かなり厚めの本なのだが、あまりにおもしろいので2日間で一気に読んでしまいました。 これだけ一人ひとりの俳優さんたちのホンモノの追究の結果に生まれた『リア王』の世界、見なかったことを本当に 後悔してしまいました。 また、この本の数年の過程の中で多くの役者さん、監督さんなどが亡くなっていったことが触れられていて、 改めて素晴らしい方々を失ったのだ、と思いました。 山崎努さんにはまだまだ多くの演技を見せていただきたいと思います。 多くのことを学ばせていただきました。本当に興奮してしまいました。この本はほんとうに素晴らしいです。 乱文失礼いたしました。 心に響く ある意味では、読者を選ぶ本かもしれない。 できることならば、シェイクスピアの「リア王」をきちんと知って読むべきだ。 知っているか知らないかでものすごく差が出るはず。 ただ、知らなくても大丈夫。 ひとつの舞台を成立させるために、「役者」という存在がどれほど力を尽くすものか、それだけだって、いやそれがもっとも感動的なのだ。 激しい息づかいと共に、それが見えてくる。 読みながら、何カ所となく赤ペンでラインを引いた。 読み直そうと思ってページの端を折った。 心にこみ上げてくる何かを押さえきれず、本を壁に向かって投げた… 創作の原点。壮絶な記録 「リア王」を構想し、役を徹底的に磨き上げ、舞台で演じきった180日あまりを克明に記録した日記形式の本。いま日本を代表するあの大俳優ですら、一つの役を演じるまでには、これほどの内なる格闘があったのかと胸が熱くなります。あらゆるクリエイターにとって、とても励みになるのと同時に、創作の原点とはなにかということを指し示している気がしました。 時折紹介される周囲の演劇人や黒澤明や伊丹十三、三船敏郎といった人々のエピソードのひとつひとつも味わい深く、得した気分にさせられます。また、末尾に付けられた日記索引もなかなかよいです。
|